小富士山を背に、雄勝の森と海に囲まれた複合体験施設MORIUMIUS(モリウミアス)。屋根を覆っているのは、硯石(すずりいし)のスレートで、雄勝の天然の硬質粘板岩だ。その濃淡豊かな色合いは、建物に独特のぬくもりある表情を与えている。
1923年に設立され2002年に閉校となった旧桑浜小学校は、約2年かけて参加者の手で改修され、2015年7月にMORIUMIUSとしてオープン。夏から秋にかけて子どもたちを対象とした長期・短期の滞在型プログラムを提供していく。運営する公益社団法人sweet treat 311の理事であり、MORIUMIUSフィールドディレクターを務める油井元太郎さんは、「ここはすべてが子ども目線。難しい定義より、朝起きてから日が暮れるまでの『昔の暮らし』をまず楽しんでもらえたら」と話す。MORIUMIUSののれんが揺れる正面入口から施設をめぐり、写真とともにその魅力を紹介していきたい。
MORIUMIUSでは、私たちが海や山、生きものたちから恵みを受けながら生活していることを知り、その昔ながらの暮らしを実際に体験してみることができる。そしてこの施設には、地元の人や地域の文化に触れながらそれらを体験するための工夫が満載なのだ。
しかしこのような施設は、一体どうすればつくりあげることができるのか?後編では、延べ5000人ほどを引きつけたMORIUMIUSの魅力、そんな人の循環が出来上がっていった舞台裏を探る。
文/井上瑶子
Tweet