古代米屋レストラン グリーンゲイブル
JR東北本線の「国府多賀城」駅に隣接した「東北歴史博物館」。その1階に、菅原つえ子さんが経営する橡企画の「古代米屋レストラン グリーンゲイブル」があります。橡企画は、ここを拠点に、レストラン事業を展開する一方、インターネットでも購入できる各種商品を開発し、「古代米」を宮城県の代表的ブランド米に育てようと奮戦しています。
古代米に魅せられて
古代米とは、何でしょう? 古代米は、黒米や赤米という名でも呼ばれる通り、鮮やかな色素を持つのが特徴で、稲の原種に近く、野生の性質を残す米です。「古代米屋レストラン グリーンゲイブル」で、オーナー菅原つえ子さんにお話を伺いました。
菅原さんが、古代米と出会ったのは1999年のこと。「親戚の米農家が黒米の栽培を始め、『どう売っていこうか』と相談されたのがきっかけ」だったそうです。そこで、炊いてみて、食べてみて…。しかし、何度試みても、納得できる味になりません。
「炊き方を変えながら、一年以上食べ続けました。そして翌年、新米を炊いてみると、味も香りもすばらしく、心から『おいしい』と思ったんです。配合、炊き方、何より鮮度を保つことが大切と実感し、これならいけると確信しました」。
しかも、美しい色にはポリフェノールが含まれ、食物繊維、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなども豊富なことがわかり、その可能性に魅せられて、古代米とともに歩もうと心に決めたのです。
博物館でレストラン開業
しかし、開業当初は「白米はないの?」と尋ねるお客様も多かったそうです。
「白米を出せば喜ぶお客様もいる。でも縁あって立ち寄ってくれたお客様に、ぜひ古代米を味わってほしかったんです」。
そこからまた新たな格闘が始まりました。
看板ランチが人気のワケは?
グリーンゲイブルの人気メニューに「さくら米セット」があります。国産白米に国産黒米(紫黒米)を混ぜて桜色に炊きあげた、モチモチとした食感でほんのり甘い「さくら米」は古代米を親しみやすい名前にしたもの。「白米はないの?」と言われた菅原さんが考え抜いた名前です。
「さくら米セット」として提供し始めて思いがけなかったことは、「古代米を食べに来たのにないの?」という方がいらしたことだそう。「さくら米は古代米と同じです」とお応えしながら、古代米浸透し始めているという手応えを感じたと言います。
このセットは、「さくら米」のおにぎりとお粥、黒米入りのオリジナル「おもわく麺」に加え、野菜を中心とした副菜数品を添えたヘルシーな献立で、まさにグリーンゲイブルのポリシーが込められた自信作です。「古代米に組み合わせるのはきちんと育てた野菜だと思い、薄味でも野菜そのものの味わいで満足感を得られ、『また食べたい』と思うメニューを考え続けてきた」と語ります。その言葉の通り、副菜として添えられたポテトサラダの甘さや玉ねぎのブルーベリー漬けのさわやかさに菅原さんの野菜への想いが感じられます。
「穀菜美食」を合い言葉に古代米を広める
東北歴史博物館でレストランを始めて約8年、ようやく食へのこだわりが浸透し始めたころに東日本大震災は起きました。直接の被害はなかったものの、飲食業はお客様があってこそ。東北全体が大変な状態にあり、博物館に来館されるお客様は激減しました。日々の食事にも苦労を強いられている人たちがたくさんいる中で、「食のこだわりなんて言っていられない」と菅原さんは心が揺れたそうです。そんな菅原さんを支えたのは、つらい状況下で古代米を思い出し、「グリーンゲイブルのさくら米セットが食べたい」と言うお客様がいたこと。それが、古代米普及を継続する原動力になりました。
今、菅原さんは、体にいい穀類ときちんと育てた野菜で作る食事を「穀菜美食」と呼び、古来、伝わる当たり前の食を未来につなげる店が日本中に増えることを願っています。
「『グリーンゲイブル』がそんな店の先陣になれたらうれしいですし、健康増進に役立つ古代米やそのアレンジ商品を開発し、古代米が宮城を代表するブランド米になったらうれしい。全国の人が宮城の古代米が食べたいと思い、それが多賀城市の町おこしになるといいですね」。
そんな夢を語る菅原さんに、どんな未来が待っているのか、楽しみです。
Tweet古代米屋レストラン グリーンゲイブル
住所 〒985-6852 宮城県多賀城市高崎1-22-1
電話 022-368-0616
URL:http://www.greengable.jp/