久慈市教育委員会と(株)リクルートマーケティングパートナーズ(RMP社)は、同社が提供するオンライン学習サービス「スタディサプリ小学講座・中学講座」を活用した学力向上のための共同プロジェクトをこの1月18日から8月末日まで展開している。「スタディサプリ」は、PCやタブレットのブラウザを使った小・中・高校生向けのオンライン学習サービス。授業動画やドリル教材などのコンテンツが提供され、今年の2月25日からそれまでの「受験サプリ」「勉強サプリ」「英語サプリ」「英単語サプリ」を統一して、より総合的な学習サポートができるようになった同社の新ブランドである。
現在、久慈市におけるプロジェクトで「スタディサプリ」を導入しているのは、久慈市立の大川目小学校と大川目中学校。それぞれタブレットが市より貸与され、大川目小では4年生から6年生の児童(53名)が主要4教科、大川目中では1年生と2年生の生徒(36名)が英語学習に利用している。
大川目小では、チャレンジタイムと呼ばれる、5時間目が始まる前の15分間に「スタディサプリ」を利用。また授業時でも、ペーパーテストを早く終えた児童が「スタディサプリ」を使って余り時間を無駄なく学習に充てている。児童全員には、IDとパスワードが与えられているので、自宅にPC環境が整っていれば自宅学習も行うことができる。
「子どもたちは、自分たちのペースで『スタディサプリ』を使って効率的に学習をしているようで、全体的に学習意欲は高まっています。教科書掲載以外のものもある豊富な社会科の資料、理科の実験の様子が分かる動画などが好評です」と、語るのは大川目小学校長の佐々木勉先生だ。
RMP社では月に一度、久慈市を訪れて現状の共有と必要に応じた助言などを行っている。同社のネットビジネス本部ラーニングプラットフォーム推進室事業開発部勉強サプリグループ(3月7日現在)の青山倫子さんは次のように語る。「タブレット学習に対する興味が学習意欲を喚起しているとともに、ノートの取り方がていねいになったなどの副次的効果も伺っています。また、全国でも一流の先生による授業を受講できるのも『スタディサプリ』の特長ですので、普段の授業に加えて、『こういった考え方もあるのか』といった学びの喜びを久慈の子どもたちにも実感してほしいです」。
大川目小学校の佐々木校長先生もドリル教材だけでなく、授業動画も積極的に受講してほしいと強調。児童の中には、答えを間違っても自分の課題がどこなのかが分からない子もいるので、教師のサポートの下、単元などつまずきの箇所を確認し、場合によっては、一つ前の学年にさかのぼって「スタディサプリ」の授業動画で振り返り学習を行うのが有効だと佐々木先生は指摘する。一方の大川目中学校では、「スタディサプリ」を英語の授業の冒頭などに使用。同校はもともと英語学習に注力していており、「スタディサプリ」でさらなる英語力アップを図っている。
「スタディサプリ」では教科学習だけでなく、将来生きるために必要な力を育む「よのなか科」も提供されている。現在、久慈の2校での「スタディサプリ」利用はキャリア教育にまで至っていないが、もともと、この共同プロジェクトの背景には、地元に残って久慈の産業を担う人材育成のためのキャリア教育推進という久慈市の長期的な方針があった。
久慈市総合政策部政策推進課の重浩一郎課長は次のように語り、「スタディサプリ」の応用的活用に期待するとともに、地域に根ざしたキャリア教育の確立を見据える。
「キャリア教育の土台をつくる基礎学力の向上という観点から、今回の『スタディサプリ』の活用に期待しています。今後は、地域に住む人がどういう仕事をしているかを学び地元愛を高めるといった地域学習もできる“久慈オリジナル”の『よのなか科』をRMP社さんとつくっていけたらいいと考えています」
記事提供:復興支援ポータルサイト「いわて三陸 復興のかけ橋」
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