【企業がつなぐチカラ】アルビオン:「東北ふるさと市場プログラム」開催レポート。久慈の高校生が東京での販売イベントに挑戦

「東北の物産展です、ご試食いかがですかー?」
7月29日東京駅丸の内地下街の行幸通り(青空市場)と銀座のアルビオン本社の2ヶ所で、高校生による「東北ふるさと市場」が開催された。
参加した高校生は岩手・宮城・福島の各県から総勢15名。岩手からは久慈東高校の4名が参加した。

販売を前に東北三県から参加した全員で集合写真

販売を前に東北三県から参加した全員で集合写真

この販売会は、東京の化粧品メーカーであるアルビオンに、「いわて三陸 復興のかけ橋」プロジェクトが久慈市で活動するNPO法人やませデザイン会議とのマッチングを行い、アルビオンが提供する支援プログラムに対して、やませデザイン会議が参加高校生との事前の講座運営や引率などをサポートすることで実現した。

高校生たちは販売の約2ヶ月前から地元で準備を重ねてきた。7月9日にアルビオン現役社員が久慈を訪問して行った、マーケティングの基礎や商品キャッチコピーの作り方講座をはじめ、社会人としての電話のかけ方、商品アピールのプレゼンテーション方法などを学びながら、商品の選定、調査、仕入れなどを自ら行った。中にはこの機会に初めて食べた地元の名産品もある一方、当たり前だと思っていた「かりんとう」の形が、地域独特のものであると気づくなどの驚きもあった。

高校生たちが選んだ久慈・野田の名産品を手作りのPOPを使って陳列

高校生たちが選んだ久慈・野田の名産品を手作りのPOPを使って陳列

(7月9日の勉強会の様子:http://iwate-fukkou.net/topics/detail.php?id=1277

販売会前日の7月28日からは東京に移動し、銀座のアルビオン本社で半日かけて、販売用のPOP作成や商品の陳列、接客、会計等の準備を行い、当日に臨んだ。3県でチームを組むことで、東北の他県の名産品を知り、それぞれの想いを聞き、伝えあう機会にもなった。

販売開始。人前で販売するのは初めてという参加者もいて、最初は恥ずかしそうに様子を見ながら、という感じだったが、現場でのアルビオン社員の励ましも受け、練習で学んだことを思い出しながら販売を行ううちに、一連の動きもスムーズになり、笑顔も出るように。
アルビオン本社では開始時間の前から販売場所である会議室の前に行列ができる盛況ぶり。丸の内では周囲に様々な地域のブースが並ぶ中で、存在感を出した。
この日の売り上げは564,500円と過去最高を記録。
アルビオンが掲げていたこのプログラムの目標「社内外に一人でも多くの東北サポーターを増やす」「高校生が『ふるさと』を好きになり、外部に発信する機会を作る」が見事に数字に表れた形だ。

短期間での高校生の成長ぶりに、引率したNPO法人やませデザイン会議の見年代瞳さん、久慈東高校の久保田美津穂教諭も感動を隠せない様子で「全員よく頑張った。この経験を将来に活かしてほしい」と語った。

お客様に試食を勧めながら商品説明

お客様に試食を勧めながら商品説明

朝10時から夜の19時30分までの販売を経験し、高校生自身が目標にしていた完売には僅かに届かなかったが、他県の高校生の協力も得ながら、最後まで諦めずに頑張った。
久慈市での事前講座から高校生の販売をサポートしたアルビオン企画部の長嶋ゆかりさんは、「マーケティングとは、お客様に嬉しさを提供して喜んでもらう全ての行為と教えた。商品を買ってもらったお客様がそれぞれの職場や家庭で嬉しいひと時を過ごしたと思う。ただ、生徒の皆さんにとっては今回完売を目標としていましたが、なかなかすべて上手くいくことは実際には難しい。上手くいかなかったことを、どうやって、次に活かしていくのか、いろいろな伝え方を考えて、次につなげる。その繰り返し」と激励の言葉を贈った。

久慈東高校の4人は秋には地元でも販売会を行う予定。今度は今回の「学び」を自分たちが中心になって周りの高校生や地元に伝える番だ。

記事提供:復興支援ポータルサイト「いわて三陸 復興のかけ橋」