超・超高齢社会の被災地新たな社会モデルをつくれるか
世界一の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)を誇る日本。内閣府発表の2013年版の高齢社会白書によると昨年10月時点の高齢化率は昨年から0.8%増の24.1%となった。岩手・宮城・福島の被災3県はいずれもそれを上回る数値であり、さらに岩手・宮城県沿岸部や福島県では30%を超える市町村もある(下図)。被災地では「超・超高齢社会」が目の前の現実となっている。
こうした中、政府の復興推進委員会は6月に「新しい東北創造」へ向けた政策提言を提出。「日本や世界のモデルとなる」社会を東北からつくりだすための5つの大きな柱が示された。その1つとして 「高齢者水準による活力ある超高齢社会」があげられ、高齢者の自立や社会参加を実現する仕組みづくりや、ITを活用した高齢者見守りシステムや次世代地域包括ケアシステムといった方向性が示された。7月22日、復興庁ではこれらの方向性に基づいたモデル事業の公募を開始した。
農園を活用した高齢者の生きがいづくり
これまでにも高齢社会の課題解決を目指した復興事業は各地で行われてきた。「農と福祉の連携によるシニア能力活用モデル事業」では、農業の有する健康推進や癒しの効果に着目し、仮設住宅に居住する高齢者へ農作業環境が提供された。2011年度補正予算および2012年度予算で実施された当事業では、それぞれ11箇所、16箇所で各市町村やNPO等によって農園活動が実施された。
民間独自の取組も行われている。NPO法人フェアトレード東北は昨年4月より宮城県石巻市および東松島市で「ソーシャルファーム」事業を開始。地域の高齢者とともに各種野菜やハーブを育て、事業に賛同する企業(株式会社ラッシュジャパン、株式会社セリュックス)に販売する。事業収入で活動を継続するソーシャルビジネスとして展開されている。