今回は、産業復興へ向けた支援の展望について考察したい。まず前提となる数字として、東北経済産業局が行った調査結果がある。グループ補助金の交付先において、震災前の売上水準まで回復した割合は、建設業で66・0%、運送業で42・3%に達する一方、水産・食品加工業は14・0%にとどまるなど、回復度合いで二極化が鮮明になっている。前者は、インフラ復旧等の地域内の一時的な内需増大に依るところが大きい。一方で、後者は、今後いかにして外需を獲得できるかが重要なポイントになる。
3月に公表された日本経済新聞が被災企業80社に行ったアンケート結果でも、同様に売上回復が二極化している結果となった。「好調組は震災を機に事業戦略を練り直し実行した企業が目立つ」と述べられており、新商品の開発や他社連携などを通じて付加価値を高めることに成功した事例が紹介されている。
では現地事業者が付加価値の向上を目指す中で、今後外部からどのような支援が求められるのか。まず企業などは、より本業に関連した自社のノウハウやサービスを活かす取り組みを行っていくべきだ。例えば、宮城県石巻市で在宅医療向けのクラウドサービスを構築した富士通や、若者向けの就職応援プログラム「ホンキの就職」を岩手県釜石市で展開したリクルートグループなどが事例として挙げられる。これらの取組みの特徴は、いずれも地元企業やNPO組織と密な連携を取っている点と、短期的な利益を求めるのではなく、本業に活かすためのR&D(研究開発)の一貫であったり、中長期的な投資の観点から実施している点だろう。震災によりさまざまな社会課題が露呈した東北の課題を解決することは、企業にとって大きな意義があり将来的なビジネスにもつながると考えられる。
また個人における支援も、今後の変化が期待できる。背景としては、支援者である個人を束ねるプラットフォームが生まれてきたことだ。
先日、プロジェクトマネジメントに関する国際資格PMPを認定するPMI日本支部のセミナーに登壇したが、多くの方が出席され、潜在的に自身のスキルを事業者支援に活かそうとする方が多くいることを感じた。ほかにも東北支援を希望するプロボノ達のネットワーク等も多数あり、現地の支援者と連携した、集団コミュニティ単位の支援は今後も盛り上がりを見せるだろう。
震災後、フェーズにあわせて外部支援者の役割は変化してきた。4年目を迎えるこれからは、より専門的なスキルや経験を活かした支援の機会が増えていくだろう。是非多くの企業や個人の参画に期待したい。
(文/RCF復興支援チーム・藤沢烈)
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