石巻市北上町十三浜の白浜で6月28日、Hondaビーチクリーン活動が開催され、地元住民やボランティア約200人が海岸の清掃活動を行った。
活動の発起団体は、白浜海水浴場再開実行協議会(以下、協議会)。代表の佐藤尚美さんは、1997年の結婚を機に白浜に移り住み、3人の子どもを育ててきた。2011年6月、「いつまでも支援を受けているままなのに疲れてきて」と、任意団体「WE ARE ONE北上」を立ち上げ、子ども向けイベントの開催やお弁当の製造販売など、子育て中の母親をサポートする活動に取り組んでいる。
協議会が発足したのは、2013年7月のこと。「震災後に北上を離れた人の中には後ろめたさを感じている人もいた。集まって何かできないかと声をかけたら、2日後に30人も集まって。海水浴場再開をきっかけに再会し、それが自分たちのエネルギーになるのを感じた」という。その後、わずか1か月で2日間の海開きを実現した。
佐藤さんは、2012年12月からは石巻北上地区復興応援隊としても活動し、弁護士相談会の開催や住民イベントのサポートなどを行っている。復興応援隊とは、被災地のコミュニティ再構築を図ることを目的とした総務省の復興支援員制度を活用し、宮城県が県内外の人材に住民の活動をサポートする業務を委嘱しているもの。「自分が取り組みたかったまちづくりやコミュニティ再生を仕事としてできるようになったのは有難いです。昨年までは復興応援隊がイベントを主催していましたが、震災前と同じように子供会など住民主導で開催できるよう、今年からはサポート側にまわっています」。北上に位置する13の地域の総称である「十三浜」において、浜同士のつながりも強めていきたいという。
「北上で様々な人と触れ合いながら活動していると、『復興』がその人にとって何なのか、やればやるほど分からなくなる。でも、このあたりは、助け合う気質が強い地域。住民の人数は減っても、ここに残った人が豊かに笑って暮らしていくことを目指したい」。
今回のビーチクリーン活動は、佐藤さんの復興応援隊としての活動をサポートしている、みやぎ連携復興センターの高橋智誓さん(本田技研工業株式会社を休職中)が、全国でビーチクリーン活動を継続的に実施している同社を紹介し、大勢の社員ボランティアらの協力を得て実現したもの。ビーチクリーン用にカスタマイズされ、細かいごみや貝殻を効率的に収集するHonda製のバギーも登場した。佐藤さんらの思いが浜の内外の人を巻き込み、活動が広がっている。
5時間以上に及ぶ清掃活動ですっかりきれいになった白浜の海岸では、今年も8月9日、10日に2日間だけの海開きが行われる。佐藤さんは今後、白浜に海の家を建て、にぎわいを取り戻したいという。「この海岸でビールフェスもやってみたい。近くにある鹿島神社は、麦酒を献納したらご利益があったといわれているビールの神様なんですよ」。白浜海水浴場が本格再開され、神様の見守る浜で笑顔でビールを飲める日が待ち遠しい。
文/畔柳理恵
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