岩手県 南部鮭加工研究会 鮭冷燻・ケズリ
「パスタにふりかけたら綺麗ね」、「クリームチーズと合わせてディップにしたらオシャレかも」。南部鮭加工研究会の「鮭冷燻・ケズリ」が届いた際、こんな妻の提案を振り切り、まずはシンプルに「ご飯の上にふりかける」を選択した私。炊きたてのご飯の上の妖艶なダンスと、沸き立つどこか懐かしい匂いに我を忘れ、一気に胃袋へと流し込まずにはいられなかった。
産卵期に川を遡る過程で、雄の鼻が曲がることから「鼻曲がり鮭」と呼ばれる岩手県沿岸の鮭。その特徴は脂肪が少なく臭みがないことで、燻製などの加工に適していると言われる。ナラ、ケヤキ、クリなど、地元の広葉樹を使い15~20度の低温でじっくりと燻すことにより、鮭に旨味成分を十分に吸収させる。更に乾燥し硬くなったものを削り、生ハムのような食感の逸品が完成する。鮭と塩のみのシンプルな素材に、冷燻独特の豊かな香りが加わり食欲をそそるのだ。川で生まれ、海へ下り、遥かアラスカ沖まで旅をして、再び生まれた川へ還ってくる鮭。4~5年を経ても故郷を覚えている理由は未だ解明されていないが、有力な説は生まれた川の「匂い」を記憶する本能だと言われている。人間も故郷を遠く離れて何年も過ごしていると、無性に懐かしさが募る時があるが、「鮭冷燻・けずり」から放たれる匂いが、本能に訴えかけてくる気がするのは偶然だろうか?
最近新婚生活が始まった私。次回は妻の意見を受け入れ、胃袋をさらに鷲掴みされることで、尻に敷かれていくのは必然だろう。(K)
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