<解説>復興庁「復興金融ネットワーク」とは

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復興庁は7月、「新しい東北」政策の1つとして復興金融ネットワークの設立を発表した。東北内外の金融機関等の情報共有を強化することで、産業復興を後押しする円滑な資金提供を促進する。現時点で東北の地銀や信用金庫、都市銀行や復興関係の財団法人など27団体がメンバーとして名を連ねた。

復興×資金のこれまでと新ファンドの設立

復興へ向けた資金供給施策は、官民様々な形でこれまでも実施されてきた。

国はグループ補助金や東日本大震災事業者再生機構等により、ハード復旧や二重ローンへの対応を行ってきた。また「新しい東北」の指針の元、モデル的新事業のべ約160件への支援や被災地内外の事業マッチングの場の提供などソフト面の施策も実施している。

民間においては、不特定多数に参加を呼びかけるクラウド型ファンドとして、ミュージックセキュリティーズが3万人近くから10億円以上の資金を調達。三菱商事やキリンなどの企業も数十億円規模で事業者への資金提供を行っている。官民の連携策としては、政策投資銀行と東北金融機関による共同復興ファンド(約200億円)や、国と民間企業が共同出資し農林漁業分野に特化して6次化を進める農林漁業成長産業化ファンド(約300億円)などがあげられる。単独の融資や投資と比べてリスク分散が図れるファンド型の施策が多く行われている。

今回の復興金融ネットワークでは、こうした個々のプレイヤーの連携を促進するもの。例えば地域産業の詳細情報を外部プレイヤーへ提供し更なる投資を促進することや、案件情報の共有により起業支援を行った後の運用資金ニーズを他金融機関が埋めていくなどの連携効果を狙う。また今年秋には新たに復興・地域活性化ファンド(仮称)が創設される。政策投資銀行が新たに地域経済活性化支援機構や地域金融機関と共に組成するもので、200億円程度の規模となる予定だ。

復興金融ネットワークの全体像

復興金融ネットワークの全体像

ビジネスコンテストによる案件開拓も

また関連して、復興金融ネットワークの母体となる「新しい東北」官民連携推進協議会では、ビジネスコンテストを開催する。被災地において、地域産業の復興や市域新興に資する事業を展開する団体・個人を対象としたもので、9月末から始まる一次書類審査、10月の二次審査を経て11月に表彰が行われる。8月20日からは二次募集が開始しており、9月16日まで応募を受け付ける。

受賞者には関連の専門家等から事業サポートを受ける機会があると共に、希望者には復興金融ネットワークの場でプレゼンテーションの機会も提供される。コンテストで事業を発掘し、コンサルテーションや資金提供も含めて官民で支える体制を整える。事業化から資金提供までをトータルにサポートできる仕組みとなれば、産業復興へ大きく寄与するものになるだろう。

「新しい東北」復興ビジネスコンテストの詳細はこちらから