いったいこれはなんだ、怪獣の足か? 宮城から届いた「三陸殻付ボイルほや」を開封した私の目は、オレンジ色の物体に釘付けになった。パッケージには誇らしげな「ほやっぴー」のイラストと「R-30 立年以上」の表示。30歳を過ぎないとこの味は分からないということか。これはなかなか手ごわいぞ。
三陸でホヤを食べたことのある人なら、ホヤは鮮度が命と知っているだろう。ゴツゴツした外見から「海のパイナップル」と呼ばれるホヤは、時間がたつと臭みが出るため、都会で食べるホヤしか知らない人は苦手とする人も多いはずだ。だが一度でも新鮮なホヤの刺身を食べれば、「ホヤ=臭い」のイメージは鮮やかに覆される。採れたてのホヤはもぎたてフルーツのように爽やかで、ホヤ独特の風味とほのかな潮の香りが口の中に広がる抜群のおいしさ。そう、香りまでパイナップル級なのだ。その新鮮なホヤを殻からのダシが出るようにじっくりとボイルしたのがコレだ。半分にカットされたホヤを手で剥くとつるんと殻から身がはずれる。一口サイズの身を口に放り込めば、カニやエビにも似た濃厚な旨味と濃い潮の香り。生のホヤとは全く違うこの味ならひょいひょいといくらでも食べられるし、酒の肴にもいける。
震災で被害を受けた養殖ホヤが再び大きく育つまで3年かかった。今年3年ぶりに水揚げされたホヤを土地の人は待ちわびていたという。生で食べるなら現地限定の味覚だが、これなら日持ちがするので土産にもいい。聞くところによるとホヤには味を構成する5つの要素「五味」が揃っているそうな。塩味、甘味、苦味、酸味、そして旨味。それらが複雑にまじりあったこの味こそ大人の味ということか。ホヤをおいしく感じる大人になったのだ。そう噛みしめながら味わいたい。(L)
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