被災者の受け入れに本領発揮[笑顔の架け橋Rainbowプロジェクト]

01ホテル森の風
岩手県雫石町鶯宿にある「ホテル森の風」は223室、1,000名収容の大型温泉リゾートホテル。2階大浴場からは岩手山を一望できる大浴場と空中露天風呂も魅力の一つ。
第36回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」、人気温泉旅館ホテル250選「5つ星の宿」に選ばれる人気の宿泊施設です。
盛岡I.Cから車で約30分、盛岡駅西口からは無料シャトルバスを運行するなど、アクセスも容易なことから、県内外から多くの観光客に利用されています。

 

 

 

 


宿泊施設ができる懸命な対応

当時の懸命な対応を淡々と話す立花さん

当時の懸命な対応を淡々と話す立花さん

 2011年3月11日午後2時46分、ホテル森の風では、チェックインを済ませたお客さまが部屋へ移動し始めていた頃、東日本大震災が発生。
冷暖房に使用しているパイプが折れ、一部水に浸ってしまうという被害はあったものの、それ以外の大きな被害は無かった。と営業部企画課主任の立花さんは話してくれました。
安全を考え宿泊客をロビーに集めることに。しかし、震災の影響でエレベーターが停止していることから、スタッフが10階から1階まで階段を使って誘導をするなど、お客さまの安全確保に努めました。

その後、帰るめどが立った宿泊客から順にチェックアウトし、それぞれ帰路についていかれましたが、なかには帰るめどが立たないお客さまも。
そんな帰ることができないお客さまが、少しでも快適に過ごせるようにと、バイキング形式の料理を用意するなど、スタッフも、ホテルに泊まり込みでの対応だったそうです。
宿泊客だけでなく、近隣を観光中に震災に遭ったバスツアーの方々の受け入れなど、宿泊施設として、できる限りの災害対応もおこないました。

また、県からの要請で、4か月の間、被災地である岩手県山田町から避難してくる人たちの受け入れも行いました。
その受け入れ人数は多い時で100名にも及んだといいます。
このとき、ホテルのスタッフたちは、慣れない場所での生活の不安を払拭するため、避難してこられた方々の名前を覚え、朝夕の挨拶はもちろんのこと、できる限り名前で声を掛け合い、親戚のようなコミュニティになれればと考えたそうです。

営業再開に向けた苦渋の決断

宮沢賢治の童話をモチーフとした階段ギャラリーは階段を楽しく演出

宮沢賢治の童話をモチーフとした階段ギャラリーは階段を楽しく演出

ホテル森の風には、併設しているプール施設「けんじワールド」があります。「けんじワールド」は宮沢賢治の世界をモチーフにした東日本最大級の屋内プール施設。その「けんじワールド」の夏の営業を再開するかどうかも、大きく悩んだことでした。
「けんじワールド」の売りの一つである波の出るプールが「震災をイメージさせてしまうのではないか?」ということから営業を自粛する話も出ていました。また、営業再開となれば、現在受け入れている被災者を、7月いっぱいで打ち切らなければならないという苦渋の選択をしなければなりません。
何度も議論を重ね、「沿岸の被災により、海で泳ぐことができない子どもたちに、遊べる施設を提供する」ことの方が前向きではないかと営業再開を決断します。
結果、「けんじワールド」には、多くの子どもたちの笑顔と笑い声があふれたそうです。
苦渋の決断の痛みも、この笑顔と笑い声でやわらいだことでしょう。

通常の観光拠点としての回復

落ち着いた雰囲気と高級感あふれる空間は特別な気持ちにさせてくれます

落ち着いた雰囲気と高級感あふれる空間は特別な気持ちにさせてくれます

滝と小川を再現したロビーでは、せせらぎを聞きながらゆったり過ごせます

滝と小川を再現したロビーでは、せせらぎを聞きながらゆったり過ごせます

2011年夏から秋にかけて一般のお客さまは増えはじめ、2012年にはJRや代理店の企画でディスティネーションキャンペーンをおこなったことによりさらに増えていきました。この時期、他県のお客さまは東北に旅行へいってお金を使うことが復興の支援になるとの思いがあったのではないかと、立花さんは話してくれました。
しかし、2013年になると客足は少しずつ減少。これは、震災復興のための旅行が、年々減ってきていることが原因だと分析しており、いまは復興支援に頼らない企画を考えています。

その先駆けとして、2013年の5月に一部の部屋を改装。ちょうど1年を迎える2014年のゴールデンウィークには1周年記念として特典の付いたサービスを実施しました。
そのほか、プレミアムキャンペーンや日帰りプランなど、目的や価格に応じたプランを選べるようにしました。
さらに、記念日などにホテルを利用したいときには、ネット予約の備考欄に記念日であることをメッセージとして入れていただければ。専門スタッフがコーディネイトし提案してくれるサービスもおこなっています。
ぜひ、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
震災から宿泊施設として被災地を陰で支えてきた「ホテル森の風」。岩手県雫石町にお越しの際にはぜひ、遊びと癒しの森のリゾート「ホテル森の風」の安らぎを体験してみてください。



季節ごとの旬の味覚を贅沢に味わえるお膳料理もホテル森の風の魅力

季節ごとの旬の味覚を贅沢に味わえるお膳料理もホテル森の風の魅力

本取材は、2014年2月25日です。
カシオペアFM「三陸さ、あべ!」との共同取材です。(音も聞けます)
http://779.jp/sanriku_reports/2368/


ホテル森の風
ホテル東日本グループ 森の風
〒020-0574
岩手県岩手郡雫石町鴬宿10-64-1
TEL019-695-3333
FAX019-695-3330

URL:http://www.hotelhigashinihon-group.com/

記事提供:NTTdocomo「笑顔の架け橋Rainbowプロジェクト」