気仙沼「からくわ丸」×大槌「はまぎく若だんな会」 世代・地域を超えた交流が生む化学反応

震災から4年。震災後に生まれた団体が、活動の軸足を目の前の復興から永続的なまちづくりへと移すタイミングを迎えている。

すぐに意気投合し、和やかな雰囲気でワークショップが行われた

すぐに意気投合し、和やかな雰囲気でワークショップが行われた

気仙沼市唐桑町で活動する復興まちづくりサークル「からくわ丸」は、他地域でまちづくりに取り組む団体を今後の活動の参考にしたい、と、メンバーによる岩手視察を行った。
「からくわ丸」は、20代を中心とした地元の“わかもの”と外から来た“よそもの”が一緒にまちづくりに取り組んでいる。2012年に元学生ボランティアを中心に設立され、徐々に地元の若者を巻き込みながら、まちの魅力を再発見する「まち歩き」、子ども向けの野外活動「ふるさと からくわ いなか学校」、コミュニティペーパー「KECKARAけっから。」の発行などの活動を行ってきた。
今回は1泊2日の日程で岩手を訪れ、大槌町では30代、40代中心の若手事業者らで構成するまちづくり団体「はまぎく若だんな会」のメンバーと交流。お互いの活動を紹介し、一緒にワークショップに取り組んだ。

「からくわ丸」と「はまぎく若だんな会」の比較 ※クリックで拡大

「からくわ丸」と「はまぎく若だんな会」の比較 ※クリックで拡大

はまぎく若だんな会は、地元の子ども向けに地域の魅力を解説した「大槌お宝マップ」の作成や、大槌小学校ふるさと科での授業、会員が事業用車両に青色パトライトを取り付け防犯パトロールを行う「地域見守り隊」など、地域に根差した活動を行っている。唐桑と大槌の半農半漁の地域特性や、「地域のため」「次世代のため」という活動の軸が共通していることもあり、互いの活動を知った参加者からは「よく似ている」と共感の声が多く聞かれた。
ワークショップでは「いろんな世代が関わり合う地域をつくるために地域をよく知る若い世代としてどんなことができるか?」をテーマに、グループに分かれて意見交換。吉里吉里海岸で20年ほど前まで開催されていた「砂の芸術祭」を、2014年にはまぎく若だんな会が復活させたことを聞いたからくわ丸のメンバーからは「運動会や祭など町の行事がどんどんなくなっているので、引き継いでいきたいと考えている。どのようにしたらよいか」という質問が出され、「参加者が少なくても、まずはやることが大事。昔のことを知っている世代を巻き込めば自然と協力してもらえる」と、経験に基づいたアドバイスが贈られた。
はまぎく若だんな会代表の芳賀光さんは、からくわ丸のメンバーたちに「何百年もかかって地域ができてきたのを震災で一瞬で奪われた。それを5年10年で戻そうとするのは無理がある。人づくりは特に時間がかかるので、焦らないことが大事。短期的に頑張ることは誰でもできるが、地元の人間だからこそ、活動は長く続けなければ意味がない」「活動を認めてもらうためには組織としてきちんとしていることも大事。からくわ丸の場合は、メンバーを固定し会費を集めるなど、もう少し組織化すると対外的な信頼がより得られるようになるのでは」などと語りかけた。

最後に、海の見える高台で全員で記念撮影

最後に、海の見える高台で全員で記念撮影

からくわ丸代表の立花淳一さんは、「気仙沼市内の団体との交流はあるが、県外、しかも上の年代との交流は今までなかった。組織作りや他世代の巻き込み方など、とても参考になった。はまぎく若だんな会は、人情味のある方々だったのが何よりも魅力だった。ぜひ今後も関わっていきたいと思う」と収獲を語った。ワークショップを終了した双方のメンバーからは「1年後に活動がどれくらい進んだか報告しよう」「自分たちだけでなく、沿岸地域の団体が集まれる機会を作ろう」と、この機会を次につなげるための意見が口々に出された。
他地域、異世代との交流は、双方の団体にとって次のステップに進むための大きな刺激になったようだ。

文/畔柳理恵