事業者再生支援機構 業務開始へ 仙台弁護士会が適切運用求める

平野達男復興相は1月20日、被災により過大な債務を負った企業を支援する東日本大震災事業者再生支援機構(以下、支援機構)の業務を3月5日から開始すると発表した。社長には足利銀行(本店・宇都宮市)の池田憲人前頭取が内定、本店所在地は仙台市とし、東京に東京本部を設置する。

それに対し仙台弁護士会(森山博会長)は2月2日、二重ローン問題に関する債権買い取り制度の適切な運用を求める会長声明を発表。声明では、「支援対象や債権買い取り価格の算定法などにまだ不透明な部分が多い」と指摘。支援対象となる要件を、将来的に黒字転換の可能性のある事業者も含めるなど、柔軟な対応を求めた。

支援機構は2月9日、石巻市の造船大手・ヤマニシの支援を発表。宮城、岩手、福島の被災3県での支援は震災後初めてとなる。支援では、12金融機関等に総計約84億円の債権のうち約81億円の放棄を要請するほか、メーンバンクの七十七銀行には最大95億円、設備投資に20億円の融資も求める。支援機構は融資や出資、債権買い取りを行わない予定だ。

支援機構の河本茂行常務は、宮城県庁での記者会見で「国内有数の造船会社への支援を通じ、地域の産業集積と雇用を維持したい」と説明した。

縦割り行政を克服し、対応窓口の一本化を図る復興庁が発足したが、同じく支援機構も、実質的なニーズや課題に柔軟に対応できるのか、機能性と実効性が問われている。

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