被災者の生活を支えてきた雇用保険の失業手当の給付期間が満了を迎え始めている。厚生労働省の集計によると、被災3県で1月と2月に給付が切れる受給者は4000人以上。3月以降も多数の給付切れが出る見込みだ。また被災地の求人は建設・土木・警備など復興関連が多く、女性や中高年向けの仕事は少ない。
こうした方々の雇用を支える事業の創出が求められる中で、政府は被災地での復興を推進するため、起業を支援する環境づくりを進めている。
まず「東日本大震災復興特別区域法案」、いわゆる復興特区法案が、12月7日に可決された。被災地の雇用創出を促進するため、法人税特別控除などの制度がある。中でも注目すべきは、被災地における新規立地新設企業を5年間、実質的に無税とする措置だ。被災者を5名以上雇用するなどの条件を満たした法人が、所得を再投資等準備金として積み立てた時は、積立額を損金算入できる。
二つめは内閣府の「復興支援型地域社会雇用創造事業」。3次補正予算で32億円が計上された。この事業を通じ平成24年度に被災地で600名の起業者が生まれることを目指している。
経済産業省は、被災地域における雇用拡大、創業などに係る融資の拡充のための予算運用を始めた。融資元の日本政策金融公庫は「新規開業資金」の利率を、1000万円を上限に0・5〜1・4%引き下げるほか、「新創業融資制度」を拡充(資限度額を引き上げ、融資期間を延長)する。被災地での創業に際し有利な資金調達が可能となった。
さらに、厚生労働省の「重点分野雇用創造事業」の基金が、被災地で2000億円積み増しされた。被災者を雇用する場合、この基金を活用して人件費を確保することも可能だ。
こうした制度を活用して起業しやすい仕組みが整いつつある。事業を通じて社会貢献に携わりたい社会起業家は、ぜひ被災地での起業を考えてもらいたい。
Tweet