住環境整備と雇用創出に注力
岩手、宮城、福島の被災3県の2012年度一般会計の当初予算は、震災復旧関連事業費の影響で過去最大規模の額となった。3県合計で約4兆4千億円となり、前年度の約1・8倍まで膨れ上がった。
岩手県は総額1兆1183億円を計上し、そのうち震災対応分は約4652億円となった。災害公営住宅1750戸分の整備費228億円などが震災対応公共事業の柱で、加えて雇用の創出のための補助金で194億円が計上された。
前年度比2倍、過去最高となった宮城県は1兆6822億円を計上し、そのうち震災対応分は9048億円。被災者の生活環境確保のための住宅確保に260億円、中小企業への貸し付け金960億円、緊急雇用創出事業に428億円となった。
総額1兆5764億円となった福島県予算。そのうち7255億円が震災および原発事故への対応費として計上された。除染や食の安全のための事業に2865億円、雇用の維持・確保に約1000億円、生活環境確保や復興公営住宅に約340億円などが多くを占めた。
復興交付金へ期待 求められる柔軟な運用
一方、各自治体は県予算に加えて、国費である復興交付金を財源に復興を推進する事ができる。1月末までの事業計画第1回申請では、11〜12年度分で7県78市町村が総額3899億円、うち被災3県では合計3739億円が申請された。
最も多く計上したのが宮城県の2032億円で、防災集団移転に444億円、災害公営住宅整備に362億円などが柱。岩手県、福島県も同様に住宅の移転・整備を中心に、道路の新設、拡幅や学校等の耐震化などを盛り込んだ。
復興交付金は第3次補正予算の目玉として、自治体の負担なく復興を推進するために約1・8兆円が用意された。自治体からの期待が大きい一方、申請期限までに政府の求める事業計画を作成できずに申請を断念した自治体も多く、制度の自由度の拡充を希望する要望も聞こえてきているのが現状だ。
各県知事が口を揃えて「復興元年」という2012年。復興計画推進のための莫大な予算が自治体および復興交付金により計上されており、大きな期待が寄せられている。現段階で明示化されている雇用創出の補助金およびハード中心の事業に留まらず、真の産業復興や新たな産業創出へ向け復興計画を遂行するために、柔軟な予算執行が求められている。
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