須藤和明さん(31)
南三陸町戸倉地区 「自然の家仮設住宅」自治会長
南三陸町戸倉地区では仮設住宅団地ごとに自治会を設置している。住民自治や支援の受入れを行う自治会にとって、課題は住民間での合意形成。その中で活躍するのが地区最年少31歳で自治会長を務める須藤和明さんだ。
須藤さんが自治会長を務める「自然の家仮設住宅」は地区最大の81世帯が集まる大型仮設。意思決定には12人の班長との合意が必要だが、スピードが課題になった。 「自動販売機を一つ置くにも班長全員の合意が必要。でも支援側はスピードを求めるから、時には独断で判断したこともあった。すると批判の的に。難しいですね」。
多数決が通じないことも。「賛成9:反対3であっても『反対者が3人もいる』となる。住民は全員一致の自治を求めているんです」。
放っておけない性格、という須藤さん。「年長者が会長をすればもっとスムーズにいく」というが引き受け手はいなかった。結果、若い須藤さんは、年長者の意見には真摯に向き合い、住民の本音には心から寄り添うという、コミュニケーションの基本に立ち返った。「交渉のときは頭を下げてばかりでした」と本人は振り返るが、住民は「誰もが未経験の仕事を形作ってくれた」と高く評価する。須藤さんの活動は、町の自立を大きく後押ししている。
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