被災者雇用で仮設住宅運営

大船渡市の「支援員」モデルが話題に

被災者雇用で仮設住宅運営

長洞団地担当の支援員の皆さん

 岩手県北上市が国の緊急雇用創出基金の枠組みを利用した事業で、大船渡市の被災者を中心に約80名の雇用がうまれた。採用された彼らの呼称は「支援員」。仮設住宅の担当世帯を毎日見回り、住民1人1人に声をかけることで防犯、防災や、精神の安定、悩みごとの解消に役立っている。

 大船渡市内には、37箇所、約1800戸の仮設住宅が建設され、入居者は約4500人。同じ市民とはいえ、それぞれ異なった地区地域から集まった世帯が暮らし始めたことで、当初、コミュニティのつながりの希薄さが問題視されていた。被災による気持ちの落ち込みとも相まって、なかなか近所の人と会話をしない、孤立していく世帯が見られた。高齢者のみの世帯の場合、最悪のケース、孤独死につながることも懸念された。

 この事業で誕生した「支援員」も多くが被災者。うち3割が仮設住宅に住んでいる。そのような、住民にとって身近でシンパシーを感じる「支援員」が毎日顔を見せ声をかけてくれる。シンプルに見えるこのモデルは、被災者の新たな雇用にとどまらず、仮設住宅の心のつながりと安心をつくりだすことに成功している。

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