求められるボランティアの手
「復旧から復興へ」。被災地のフェーズはシフトしているが、「こと農業に関しては、まだまだ復旧すらままならない状況です」と話すのは、仙台市の震災復興・地域支援サークルReRoots(リルーツ)で代表を務める広瀬剛史さん。
農業を再開(復旧)するまでのステップを大まかに区分すると「地中の瓦礫を除く→水路を確保→水田なら塩を抜く→土地を馴らして再開」だという。津波で浸水した地域からは瓦礫が撤去され、一見きれいになったように見えるが、地中には石や木片、ゴミなどの細かな瓦礫が残ったままだ。これらを取り除き、さらに泥の溜まった側道脇の深さ約1メートルの水路から泥をかき出さなければならない。行政の動きは遅く、ボランティアの力は必要だ。しかし、一区画10アール(1000平方メートル)もの農地を、高齢者の多い農業者が単独で行うのはかなりの困難が伴う。農地の復旧には組織されたボランティアによる人海戦術的な支援が必要だ。
ReRootsはおもに仙台市の若林区で活動するが、「一反きれいにするのに、300人のボランティアが必要です」と広瀬さん。ボランティアが一列に並び、土を一定の深さまで掘り起こしつつ、手作業で瓦礫を広い集めていくのだという。広大な田畑が広がる若林区の一帯を復旧させるのには、まだ一年以上かかるだろうと見積もっている。ReRootsでは、引き続き作業ボランティアを受け入れている。「瓦礫撤去は終わった」という共通認識が被災地に対しては存在するが、農業支援に関しては別という現実がある。瓦礫を取り除いた田畑でも、塩水に浸かったために土地の塩害の問題も残る。支援を必要としている農家は被災各地に多数いると予想され、支援供給の不足は大きな課題である。広瀬さんは「今からでもReRootsと同じように農業支援に取り組む組織が各地で出てきてくれることを期待しています」と話す。
【ReRoots】 http://reroots.nomaki.jp/
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ReRootsで農地の復旧活動をさせてもらっています。広瀬さんが話すように、被災各地で農業支援の取り組み団体が出てくると良いと願っています。少しでも役に立てれば、と思っている人はまだまだたくさんおられますから。