ふくしま連携復興センターが実施した仮設住宅団地周辺環境調査報告によると、福島県内における仮設住宅団地の約半数が、買い物施設や病院などに徒歩で行くことができない環境にあることが分かった。また、公共交通機関が整備されていない団地も存在し、団地による生活環境の差、移動支援の必要性が明らかとなった。
仮設住宅団地周辺環境の状況は(表1)の通り。利用頻度が高いと思われる生鮮食品店でさえも徒歩で行くことができる団地は半数の51%、衣料品店では28%に留まった。病院・診療所では、55%の団地で公共交通等を利用しなければならず、団地住民の通院控えが心配される結果となった。
また、コミュニティ施設の設置では、集会場は93%の仮設住宅団地で設置されていた(表2)。一方で、広場等の屋外交流スペースは、場所がない等の理由により、設置されている団地は48%に留まった。ただし、屋外スペースの設置、活用には放射線の問題も残る。
各種施設へのアクセスが困難であったり、団地内の交流の場がない環境は、住民の外出機会を減少させる。これによる引きこもり、生活不活発病、慢性疾患の悪化等の健康リスクや、孤独死のリスクが懸念される。また、公共交通等利用による交通費が家計に与える影響も少なくない。報告を元に、行政やNPO等団体による仮設住宅団地への移動支援、コミュニティ形成支援など、さらなる生活環境の改善が求められる。
福島県仮設住宅団地周辺環境調査は、ふくしま連携復興センターが福島大学災害復興研究所や県内で活動するNPO等と協力して実施。2011年12月~2012年2月にかけて仮設住宅団地計155か所を対象に、主に自治会長等への面接調査を行った。分析はRCF復興支援チームが担当。調査報告書は、ふくしま連携復興センターのホームページで公開されている。(http://f-renpuku.com/?page_id=1114)
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