公益社団法人日本フィランソロピー協会が実施した被災5地域の教育状況調査によると、求められる学習支援の内容は地域によって異なっていることが明らかとなった。
岩手県大槌町では、震災の影響で授業開始が遅れたことによってカリキュラムに2週間程度の遅れが発生。長期の休みや宿題などを利用して進度を例年通りに戻すために、理解力を補う追加の学習支援が求められている。また、通学や仮設住宅内の学習備品において特に支援の必要性が高いことも明らかになった。
大船渡市でも同様に中学校、高校で最大3週間程度の遅れが発生しており、特に授業遅滞に対する支援の必要性が高かった。
福島県では、相馬市、いわき市ともにカリキュラムに遅れは生じなかったが、放射能の影響により校外学習が中止になるなど、正規授業における質の確保、子どもの精神的ストレスのケア、遊び場の確保といった支援が求められている。
今回の調査結果は、岩手県では津波による影響、福島県では原発による影響が大きいこと、それにより求める支援内容も異なっていることを明らかにした。今後は宮城県石巻市でも引き続きヒアリング調査を実施し、ニーズ把握を行うという。
本調査に基づき2012年1月より大槌町で特定非営利法人NPOカタリバがコラボスクール「大槌臨学舎」を開校、進学のための学習支援を実施している。調査結果を利活用して民間の支援団体によるさらなる支援の実行が期待される。
本調査は公益社団法人日本フィランソロピー協会が新日本有限責任監査法人の協賛によって実施。昨年9月~今年2月にかけて岩手県大槌町、大船渡市、宮城県石巻市、福島県相馬市、いわき市を対象に、教育委員会、学校長、住民等へのヒアリング調査および分析を行った。調査および分析は一般社団法人RCF復興支援チームが担当。調査報告書は日本フィランソロピー協会HPで公開されている。
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