求められる社会の理解と支援 県外避難者支援 北海道、大阪の支援者の現状

心援隊が開催したトークライブ。大阪へ移住した母親たちが、保養に来た家族に語りかける。

心援隊が開催したトークライブ。大阪へ移住した母親たちが、保養に来た家族に語りかける。

震災と原発事故により避難を余儀なくされた被災者の数は、34万4000人に上る。そのうち岩手、宮城、福島県から自県外への避難者数は7万人を超え、地域別では関東の3万5586人が最も多く、近畿4548人、九州・沖縄3395人、北海道3063人と続く。

北海道で積極的に避難者受け入れを進めている「ようこそあったかい道(どう)」。無料保養施設「あったかい道ハウス」を運営するかたわら、3月から移住を視野に入れた就職支援「希望の虹プロジェクト」を開始した。また避難者同士で組織する自治会を支援し、課題である「避難後の生活の構築」に避難者自身が主体的に取り組める環境づくりに努めている。受入イベント「ようこそあったかい道」では、札幌市や、北海道とも連携し、移住、就職相談などのほか、北海道の冬の暮らし方レクチャーや、避難者同士、地元民との交流も実施。官と民、地元民と避難者という垣根を越えた新たなコミュニティ作りが進んでいる。

大阪で主に福島県からの避難支援を行うのがNGO「心援隊」。移住の流れが一段落した中、経済的な事情等で移住できない家族を温泉地等へ連れて行く保養提供をメインに活動している。4月に8泊9日で実施した保養企画には、8家族25人が参加。枠を大幅に上回る50組の応募があった。

心援隊は震災後、ミクシィやツイッターなどSNSで避難希望者と繋がり、現地へ迎えに行くという地道な支援を繰り返した。その活動がネット上などで話題となり、多くの被災者とのネットワークが生まれている。その他、近隣住民も交えたたこ焼きパーティや花見など、継続的なイベントを通じて親交を深めている。「家族のような仲間ができた」と喜ぶ避難者も少なくない。

課題は「避難先と避難元の温度差」とあったかい道の湊氏。避難先は避難元のことを、避難元も避難先のことを、詳しくは知らないケースが多いと言う。また、「資金と人手」と心援隊の夏村氏。寄付、助成金で保養費をまかなうが、不足分は持ち出しし、後で穴埋めする状態だと言う。

震災から1年が過ぎ、生活者としてどう暮らしを取り戻すのか。避難者、支援者のみならず、社会全体としての理解と支援の必要性が浮き彫りとなっている。

取材・文/瀧澤 由美

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