3県がれき処理 進捗12.3% -広域処理162万トンに道筋-

環境省は岩手、宮城、福島3県の震災がれきについて進捗を発表。処理率は12・3%となり初の1割超えとなった。2014年3月末までの処理完了の政府目標達成は未だ不透明だが、徐々に他県による広域処理も進み始め、がれきを土手にした防潮林整備等がれき再活用の取り組みも開始している。

広域処理の進捗状況

発表によると5月7日時点の進捗は、岩手県で55万9千トン(11・7%)、宮城県で203万4千トン(12・9%)、福島県で17万2千トン(8・5%)。自前の焼却施設を持つ自治体での処理が進む一方、原発周辺の双葉郡5町で処理作業が進んでいない福島県は低い進捗率となった。

広域処理においては、政府は3月にまだ受け入れ表明をしていない35道府県および10政令市に対し受け入れ要請文書を提示。4月の発表によると富山県、石川県、山梨県および北九州市から計22万トンの受け入れ検討の具体的な回答があった。既に受け入れを表明している9都道府県8政令市の140万トンとあわせ162万トンの広域処理が見えてきた状況。岩手県には目標達成に必要な県外処理量である約57万トンを上回る受け入れ数字が示され、期間内での処理完了の道筋がたった形となった。

3県の沿岸市町村がれき処理進捗状況一方、長野、鳥取、三重、広島、徳島、高知の6知事は共同で、最終処分場の確保や安全性の情報公開等の6項目について政府へ要望書を提出。放射性物質汚染の不安から受け入れに慎重な住民の声も強く、広域処理推進にはいっそうの取り組みが必要な状況だ。

がれき再活用 大槌で防潮林の土台へ

4月30日、岩手県大槌町は、がれきを土台に人工林を植樹して防災林とする「いのちを守る森の防波堤」計画の植樹会を横浜ゴムとともに実施した。同町の小槌川沿いの約750平方メートルに約3千本の苗木を植え、約4トンのがれきが埋められた。処理率が未だ2・8%と低迷する大槌町にとって、がれき処理の促進とともに、復興計画でうたった「海の見えるつい散歩したくなるこだわりのある美しい町」の実現へ期待が高まっている。

植樹会には細野豪志環境相も参加。コンクリートの巨大防潮堤と比較してコスト削減にもつながる今回の施策をひとつのモデルケースとして、他地域における防災林事業を進める。宮城県岩沼市も復興計画において、がれきを使って盛り土した丘「千年希望の丘」構想を盛り込んでいる。

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