インタビュー先:伊知地 亮さん
特定非営利活動法人 オンザロード理事、
復興庁ボランティア・公益民間連携班制作調査官
廃校となる小学校跡地を利用し復興の新たな拠点を
Q・これまでの活動は?
昨年4月に石巻でがれき処理ボランティアの受け入れを他の団体と協力して開始。これまでに、2万名のボランティアで1万トンのがれきを片付けた。その後、避難所から仮設住宅への引っ越し支援、個人商店の再開支援等、都度現地のニーズにあわせた活動を行ってきた。
昨年9月以降は「復旧期」を終えた「復興期」と捉え、観光を主とした「石巻元気トリップ」をH.I.S.と協同して月2本開催。また遠隔から復興を支援したい人が地元商品を購入できる「Yahoo! 復興デパートメント」石巻支部の運営も行っている。
福島県では、ボランティア、県、市と除染活動を4月に行った。除染と言っても落ち葉拾いで、作業者の被ばく量もわずかだと実証された。除染ボランティアの是非が議論になっているが、大規模な除染活動とひとくくりにせず、影響を踏まえてやるべきだと考えている。
Q・これからの活動は?
廃校予定の石巻市内の小学校を利用して、復興複合施設を開く計画を立てている。この施設には、自治体のニーズをふまえ、宿泊設備、子どもたちの遊び場、地域の交流スペース、地域の商品を販売する市場等を入れて、地域復興の拠点としたい。被災沿岸部で廃校が決まっている学校は他に50校程度あり、同様の課題を持つ地域に対するモデル事業にしていきたい。
福島県には、県外に避難できない36万人の子供たちが、安心してスポーツに打ち込めるインドア型複合スポーツ施設を建設する予定。特にボルダリング等、屋内ならではのスポーツを楽しめるように設計したい。また、環境の改善のための除染活動も引き続き行っていく。
Q・復興に大切なことは?
過疎化などの元からあった問題の解決と、地域の発展のため、子育てしやすいまちづくりをして、地域に子育て世代を積極的に呼び込むことが最も重要と捉えている。公園等の遊び場や教育環境、保育施設の整備などに大胆な発想で手を打って行く必要があるだろう。
私たちは、震災直後から一貫して「こだわらない」支援を意識してきた。がれき処理が得意だからと言ってそれに固執するのではなく、信頼関係を築き次に求められていることをくみ取り、地域に寄り添った活動を行う。これからもこの姿勢で取り組んでいきたい。
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