新しい働き方「テレワーク」(在宅勤務)で被災地の雇用に広がりを

3省・140企業が推進する「テレワーク1000プロジェクト」

昨年7月、官民連携の被災地就業支援協議会「テレワーク1000プロジェクト」が発足した。テレワークとは、在宅勤務などの時間や場所にとらわれない働き方の総称で、通勤の必要がなく、自宅などで主にパソコンやインターネットを使用する。仕事内容は、手書き書類のデータ化、インターネット情報の検索・更新、在宅での電話業務などで、ホームページの作成や画像修整といった専門スキルを要する求人もある。案件に応じて働く形態も異なり、直接雇用以外に、地元企業が委託された仕事を個人に配分する個人事業主の形をとる方法、サテライトオフィス勤務とさまざまだ。企業とのコミュニケーションも、メールやインターネット電話、WEB会議システムを使い充分可能になっている。またセキュリティも、専門会社のシステム構築により安全が確保されている。

プロジェクトの幹事企業は、新しい働き方としてのテレワークを震災以前から推進してきたベンチャー企業「ライフネス」。震災後、現地に赴き、事務系職へのニーズの多さや、地元雇用の不足といった問題に気づき、テレワークの可能性を官民へ強く呼びかけた。思いが実を結び、関係3省と現地企業を含む民間会社による協議会が発足。現在は140企業以上が参加している。

被災地で初の取り組みは石巻市。昨年の8月から就業説明会を開催。ハローワークも説明会の宣伝に協力的で、毎回多くの参加者が集った。開始から約9ヵ月間で500名以上に就業機会を提供した。石巻市では、ライフネスのノウハウを基に地元団体が運営を引き継いでいる。

自治体・地元企業・ NPОの協力で雇用拡大を

「テレワークを普及させたい」と意欲を燃やすライフネスの奥村氏

「テレワークを普及させたい」と意欲を燃やすライフネスの奥村氏

これまでテレワークの特性上、女性の応募が多かったが、失業給付の終了に伴い、今後、男性の応募も増える見込みだ。さらなる就業機会の提供を見据え「年間3000人の就業者を目指し、被災15自治体に広げたい」と話すのはライフネス専務の奥村正明氏。そのために現在、人材募集から就業後のケアまでを担う地元企業・NPОの協力を求めている。また、業務未経験者への実地研修やe‐ラーニングによる教育を任せられる組織・人材の助けがあれば、さらに雇用の幅は広がると奥村氏は言う。「全国の仕事を被災地に集め、就業機会を提供することで移住も必要なくなります。国や自治体を巻き込み、テレワーク導入の流れをつくれば地元就業者が増え、地域も盛り上がるでしょう。被災者だけでなく、仕事がなく地元を離れた若者も戻ってくるかもしれません。復興への大きな足がかりになると思います」。

http://www.telework-1000.jp/

取材・文/荒幡 幸恵

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です