株式会社ソーシャルプランニング代表取締役
竹井善昭さん(54)
最近、さまざまな場所で「東北はようやく、本格的な復興フェーズに入った」と言っている。同意する人がほとんどだが、しかし復興支援という言葉の意味するところは人によってバラバラである。僕はそれを、東北でビジネスをやることだと考えている。何故か?
そうでなければ、継続性と当事者性が確保できず、十分な社会的インパクトが生まれないからだ。
復興支援は長期戦だ。2年や3年で終わるものではない。この長期戦は寄付だけでは続かない。事実、震災から1年を契機として多くの支援団体、ボランティア団体が資金難から東北から撤退している。どこかで利益を生み出す構造を作らなければ支援活動も続かないということだ。
また東京など他地域の人間にとって当事者意識を持ち続けることも難しい。しかし、東北でビジネスを行なえば、それはまさに他人事ではなく自分事になる。東北を復興させなければビジネスも成立しないので、ボランティアとして取り組む以上に必死になる。
復興事業には社会的インパクトも必要だ。東北は震災がなくても2050年くらいには人口が半減するだろうと言われていた地方で、インパクトある事業を興さなければ復興は不可能だ。
そのためにはビジネス視点での支援活動が必要だ。たとえば、三陸漁業の復興には、三陸の海産物の需要を増やす必要があるが、これはマーケティングの仕事であってボランティアの仕事ではない。言い換えれば、東北の復興支援とは東北をマーケティングすることである。
ビジネス支援とは投資である。慈善ではなく投資。投資してビジネスを育てることで地域を育てる。これは途上国支援業界では主流の考え方だが、東北支援も同様だろう。
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