復興庁は5月25日、復興交付金について、交付可能額を発表した。第2次となる今回は、8県71市町村から提出された交付金事業計画に対して、申請額の約1.5倍となる総額2611億9千万円が交付される。
集団移転や公営住宅の早期着手も
今回発表された交付可能額のうち東北太平洋沿岸3県の配分は、岩手県に約799億円(事業費約981億円)、宮城県に約1418億円(同約1704億円)、福島県に約306億円(同約371億円)。
交付可能額が各自治体の申請額を大幅に上回った理由を、平野復興相は記者会見で「防災集団移転事業や災害公営住宅等の速やかな整備のため、来年度に実施が計画されていた事業のうち、前倒しで実施する目途がついている事業について今回配分したため」と説明した。早期着手の対象となった事業は、津波被害を受けた沿岸部の計92地区における防災集団移転促進事業および、岩手県で259戸、宮城県で972戸、福島県で650戸等、計2036戸の災害公営住宅整備事業など。災害公営住宅については、来年度中の完成が見込まれている。
自由度の高い効果促進事業費を一括配分
今回、区画整理等、面的整備の効果促進事業費として交付されたのは、総事業費の20%相当の金額で、一括で配分された。事前の計画提出・承認を必要としない自由度の高い事業費であり、平野復興相は「住宅再建と生業の復興が基本であり、急がなければならない」として、合意形成や市街地整備のコーディネートに活用されることへの期待を示した。
岩手県では、津波で被災した観光ホテルを遺産として保存する事業や、被災ホテルや防潮堤を周るツアー事業への交付は見送られたが、高台移転や道路整備等の事業に多く配分され、早期実施の対象となった事業も多かったため申請の約1・4倍の交付を受ける結果に。
申請額の約1・8倍の交付を受ける宮城県では、沿岸部の復旧事業に加え、道路をかさ上げして内陸部の津波被害を防ぐ多重防御事業、山元町と亘理町の特産であるイチゴのハウス整備費などが認められた。
福島県では、道路や住宅の整備事業のほかに、帰村宣言を行った川内村の約2・7憶円規模の水耕栽培施設に対して約2億円の交付が認められるなどして、県全体で申請額の約1・2倍の交付が決定した。
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