ふくしま産業復興企業立地 採択167件 短期雇用ではなく、長期的な雇用創出に期待

福島県は、県内への企業立地や新増設を支援する「ふくしま産業復興企業立地補助金」の対象として、申請のあった299件のうち、緊急性が高いと判断した167件を採択した。今回の採択で約2700人の新規雇用を見込んでいる。

同補助金には299件の申請があったが、約4割に当たる123件は予算不足で保留となった。また採択された167件の補助金総額(申請ベース)だけでも実質予算枠を超過しているため、投資額が10億円以上の41件は、補助額の20%分の支出を先延ばしする。補助金はすべて国の予算で賄われており、県は保留分と合わせて国に予算の増額を求めているが、見通しは立っていない。本補助金の課題について県の担当者は「国からの追加配分があるかどうかに尽きる」と語る。

本補助金が福島県の雇用に与える影響は大きい。厚生労働省福島労働局が4月27日に発表した雇用失業情勢によると、震災直後の平成23年4月には0・50倍まで落ち込んでいた福島県の有効求人倍率(季節調整値)が、今年3月には0・82倍まで上がっている。一見雇用情勢は回復しているようだが、産業別にみると建設業の比率が高く、求人の多くは復興需要に伴うものと言える。期間や業種におけるニーズのミスマッチは依然継続しており、福島労働局の担当者は「この補助金が長期的な雇用創出につながれば」と期待を示した。

取材・文/齋藤 麻紀子

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