復興特区認定すすむ 被災5県で計18件

被災地の復興促進を目的として、規制や税制が優遇される復興特区の認定が進んでいる。7月27日には石巻市と南相馬市で特区がそれぞれ認定され、被災地全体で復興特区は合わせて18件となった。

復興特区は、昨年12月の東日本大震災復興特別区域法施行以降、これまでに岩手・宮城・福島の3県に加え、青森県と茨城県で計18件が認定されている。今回認定を受けた2件は、石巻市の商業・観光関連産業や再生可能エネルギー・リサイクル関連産業の税制を優遇する「牡鹿愛ランド特区」と、南相馬市の仮設店舗の存続期間にかかわる規制の特例を認める特区。

現在認定を待つ特区のなかには、宮城県と石巻市が申請している農業関連事業の税制優遇を求める農業特区がある。これは、すでに同市でものづくり産業とIT産業向けに認定されている「民間投資促進特区」の農業版で、農業の6次産業化がねらい。申請中の特区はこのほかにも多数あり、迅速な認定による復興の促進が求められている。

主な認定済みの復興特区

期間や範囲で企業ニーズと乖離の声も

特区内で実際に税制・規制の優遇を受けて業務を行うためには、指定事業者に指定される必要がある。復興庁の発表によると、指定事業者の数は6月末時点で286。特区認定と並行して、指定事業者の指定と業務の実施も着々と進んでいる。

特区第一弾となった岩手県の「保健・医療・福祉特区」では陸前高田市のロッツ株式会社による訪問リハビリ業務が6月に開始された。宮城県仙台市の「農と食のフロンティア推進特区」では、農事組合法人仙台イーストカントリーが農業の6次産業化を目指した業務を、岩手県の「産業再生特区」では、陸前高田市の植物工場グランパファームなど3事業者が特区内で工場建設や被災者雇用を行う予定だ。

一方で、特区制度の運用や効果に対しては課題も指摘されている。経団連会長が民間企業の設備投資活性化のため法人税を軽減するなどの方策の必要性を指摘する発言をしたほか、税制の優遇措置等が認められる期間が5年と短く、企業側の営業サイクルと合わず進出メリットが少ないという声もあがっている。

特区制度が復興促進という本来の目的を果たせるよう、課題の解決と効果的な特区の運用が必要だ。

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