現在、当新聞は岩手県大船渡市と大槌町の、仮設住宅コミュニティ新聞発行プロジェクトをサポートしている。発行の主役は現地の仮設住宅支援員を中心とした6名。全員、新聞づくりは未経験だ。
7月初旬、新聞制作のノウハウを伝えるべく、メンバー総出で試行錯誤した教材を携え、研修に向かった。研修は2日間、新聞のコンセプトづくりから始まる、怒涛のカリキュラム。大切なのは「誰に何を伝えたいのか」だと繰り返したが、分かったような分からないような……そんな様子だった。そのまま取材・執筆の宿題を課し、研修を終えた。帰り道「不安だけど楽しい!」と新しい学びに喜んでいる姿が我々の土産となった。
2週間後、原稿が上がってきた。そこには読み手を想った言葉が綴られ、仮設住宅で住民たちがこの新聞を手に会話している姿が想像された。取材で出会った人やチームでの対話を通して「誰に何を伝えたいか」の解を自然と見つけたのだろう。次の研修では、彼女らの表情に控えめながら自信が見えた。
震災が壊したものは計り知れないが、こうして新たな能力が掘り起こされている事実を目の当たりにし、心が熱くなった。新生、仮設住宅ジャーナリストの活躍を、見守っていきたい。(S)
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