復興庁は7日、原発事故の影響で避難指示解除準備区域などに設定された福島県内の4市町村における公共インフラ復旧の工程表をまとめた。帰還を目指す区域内の住民や関係機関に、今後3年の復旧の見通しを共有することがねらい。
今後3年の見通しを可視化
公表された工程表では、区域見直しにより避難指示解除準備区域などが設定された南相馬市、田村市、川内村、広野町の4市町村について、今後3年のインフラ復旧の見通しが事業ごとにまとめられた。対象となったのは、国、県、市町村、事業組合の事業。事業者の枠組みを越えて全体の復旧が時間軸で「見える化」されたことで、避難住民や関係機関との情報共有の円滑化が期待される。さらに工程表では、今後区域見直しなどの節目ごとに、工程表を作成する対象となる市町村の拡大や対象事業の拡充を行う方針も同時に示された。
応急的対応は 今年度中に完了
南相馬市については、応急的な対応が求められる道路、上下水道、区役所などの整備を今年度中に終える見込み。多くの事業は、今年4月に警戒区域が解除され避難指示解除準備区域に再編された小高区において実施される予定。
田村市は電気や上下水道に震災当時から大きな被害はなかったとして、主に道路復旧を今年度中をめどに終えるとした。
すでに3月26日に行政機能が再開している川内村は、住民の帰還促進のために今後の最優先課題を除染とした。さらに道路の復旧、生活環境および商業・観光施設などの整備に取り組む予定だ。
広野町においては、道路や上下水道がすでに復旧済み。今後は、河川対策を含めた津波被災地の整備にあたる。
今回発表された工程表により、市町村ごとに必要とされる対策の差異が際立ったが、どの市町村においても、帰還住民の生活基盤を保障することが最優先の課題だ。また各事業の早期実施とともに、インフラ整備と並行した、住民と地域の産業を支える取り組みが推進されることを期待したい。
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