漁業の現状と今後
新年が開け新たなスタートを切った各県の漁業。1月4日には各地の魚市場で初競りが行われ、威勢の良いかけ声とともに本格復興の年を祈願した。
震災から10ヶ月が経とうとしているが、漁業の復興状況は各県で大きな隔たりを見せている。岩手県は11年度の県漁連の販売取扱い額で前年度比63%減と落ち込みはあるが、加工施設の早期復旧により3割減程度としたサンマなど、明るい材料も多い。県漁連は年末に発表した中期経営計画において14年度をめどに海草類や貝類などの販売を震災前の水準に戻す方針としている。
宮城県は塩釜港を除いた主要漁港の水揚げ高で前年比70~80%減という厳しい状況であり、水揚げに直結する冷凍庫や加工場の再稼働、および原発事故に関する風評被害への対応が、今後の復活の鍵となってくる。
最も困難な状況にあるのは福島県。福島第一原子力発電所事故の影響により、未だ沿岸漁業の操業の自粛が続いている状況だ。県によって実施された水産物の放射性物質検査において暫定基準値である500ベクレル/キロを超える結果が出ているためで、相馬市沖で検討されていた今年1月の底引き網漁の試験操縦も見送られた。
こうした中、漁業の早期復興のために官民で支援が続けられている。国土交通省、農林水産省等と連携しながら漁港運営に必要な設備の提供を行っているのは、社団法人「東北漁業再開支援基金」。キヤノンや三菱商事をはじめとした企業や小泉進次郎代議士が協賛者に名を連ね、冷凍冷蔵コンテナやフォークリフトなどの施設を各地に提供している。また第三次補正予算では「漁業・養殖業復興支援事業」として817億円が計上され、地域の復興計画に基づき再建を行う事業者の経費をまかなう「がんばる漁業復興支援事業、「がんばる養殖復興支援事業」などを通じた直接的な資金支援も可能となった。
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