復興における役割を考える
政府は平成24年度予算の「被災地における文化芸術による「心の復興」事業」に17億3千万円を計上した。その効果は住民に「心の復興(生きる希望や勇気)」をもたらすとともに、地域の絆が一層再確認され、復興への活力を生み出すこと」とされている。芸術は、復興にどのように寄与し得るのだろうか。被災地で行われている活動を追った。
1.人と人をつなぎ、共感を生む 宮城県ほか七夕プロジェクト
(アーティスト・ミヤザキケンスケさん)
震災から500日が経ち、マスメディアによる報道も大きく減少している。震災は確実に「現実」のものとして続いており、被災地に住む人とそうでない人には大きな認識差がある。このような立場・認識の異なる人同士を「つなげる」のが、アーティスト・ミヤザキケンスケさんの「七夕プロジェクト」だ。
短冊を通じて被災地を想う時間を
仙台では毎年8月に七夕祭りが開催される。伊達政宗の時代から続くといわれるこの祭りは、地域や個人が作った豪華絢爛な笹飾りを特徴とする。
ミヤザキさんの七夕プロジェクトは、このお祭りに飾る短冊を、とにかく沢山の人に描いてもらう活動だ。昨年8月の七夕祭りには、避難所の子供たち5百人が描く「将来の夢」を短冊にして展示。今年、その活動は東京や九州、またシンガポールやケニアなど海外にも広がり、東北への思いを描いた短冊は約4千枚にも及んだ。
ミヤザキさんはこれらの短冊を「人と人のつながりの証」だと考えている。「被災地のために何かをしたいけど、きっかけがない」という人に、短冊を描いてもらう。「重要なのは内容ではなく、短冊を描きながら被災地に想いを馳せること」と考えるミヤザキさんは、「想う」行為が「人と人のつながり」を生むと考えている。足を運んだことのない地域、会ったことのない人に想いを寄せることは一見難しく感じるが、「短冊を描く」という行為が、その敷居を下げているのかもしれない。
「何を描いたか」より「どう描いたか」
今回の活動のきっかけは、過去にケニアで行ったアートイベントにあるとミヤザキさんは言う。スラム街にある小学校の壁画を描くプロジェクトで、自分だけでなく、子どもや先生、地域の住民にも絵を描いてもらった。それが全員の参加意識を生み、結果として壁画はその後も「みんなの絵」として地域で愛されているという。ミヤザキさんはこの経験を通じて「なにを描いたかではなく、どう描いたかが重要」と感じ、七夕プロジェクトに同様の手法を持ち込んだ。
ミヤザキさんは被災していない地域にいま求められることを「共感する気持ち」だと考えている。
「現地に足を運んだ人は、例えば屋台村が出来ただけでも一緒に喜べる。でも知らないとその喜びを共感できないから忘れていく。現地の方が恐れているのは、忘れられることなのではないでしょうか」
共感の第一歩に「つながり」があるのなら、被災者とそうでない人、ケニア人と日本人など、立場の異なる人をつなぐアートイベントは、震災を風化させない手段になるのかもしれない。
→アートの力〜芸術・文化は復興を後押しするか〜【中】
→アートの力〜芸術・文化は復興を後押しするか〜【下】
カリフォルニア州立大学サクラメント校日本語科の増山和恵と申します。(http://www.csus.edu/indiv/m/masuyama)この度、アラスカ大学アンカレッジ校において進行している日本語教科書を作成するプロジェクト(無料配布)の一員として、「アートの力~芸術・文化は復興を後押しするか~【上】1 人と人をつなぎ、共感を生む 宮城県ほか七夕プロジェクト
(アーティスト・ミヤザキケンスケさん)」を日本語学習の読み物としての使用許可を賜りたくメールをいたしました。このプロジェクトは、岩手県陸前高田で津波の犠牲となったアラスカ大学アンカレジ校の卒業生、モントゴメリー・ディクソンの追悼のため、国際交流基金の助成をうけ、アメリカ合衆国の諸大学の日本語教師の有志によって立ち上がりました。教科書作成にあたっては、「太平洋の架け橋になる」というモントゴメリーさんの夢を少しでも実現すべく、「架け橋」を大きなテーマにし、メンバー全員が教材となる読み物、動画を探しておりますが、私の担当の課「文化芸術を通しての『心』の復興」にこの記事を抜粋し、使わせていただきたいと思いメールを出しました。詳しいお願いメールは、後日送り先をいただきしだい、送らせていただきます。ご検討宜しくお願いいたします。
増山さま、この度はご連絡をありがとうございます。別途メールにて詳細ご連絡させて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。