みやぎ連携復興センター事務局長、一般社団法人 ・復興応援団代表理事
佐野 哲史さん(37)
震災が起きた当時、私は新潟県十日町市の小さな集落にいました。コンサルタントとして3年間取り組んだ集落の事業立ち上げに区切りがつき3月末で契約完了というタイミングでした。いくつかの巡り合わせが重なり、17日から「つなプロ」の現地本部長として宮城県に入ったのを皮切りに、以来被災地復興に関わっています。
ライフライン復旧、瓦礫撤去、避難所から仮設住宅へ等フェーズの移行に伴い、状況も刻々と変化し新たな課題も生まれます。地理的に孤立しがちな仮設住宅団地。みなし仮設や在宅避難の人々に届きにくい支援。支援慣れ・依存。今後は雇用の問題もはっきりと浮上してくるはずです。
今思うのは「復興は被災した方たちが主役」ということです。これからの支援者は「自分のしたい支援」ではなく、被災した方々がチャレンジをしやすいように「さりげなく」支えるのが理想だと思います。地域の方々と共に汗をかき、共に未来を考える努力が求められます。簡単ではなく、正解もなく、現場で真剣に考えていくしかありません。昨日まで必要だった支援でも「これは本当にまだ必要か」と常に問い直すことも重要です。例えば、子どもたちが本当に元気になるのは、実は親に仕事があって毎日ニコニコしていることが一番かもしれない。物資の支援や手厚くケアされることよりも大切なことがあるかもしれないのです。
これからの復興の鍵となるのは、地域の主体的なキーパーソンです。町内会や婦人会、地域の寄り合いなどの地縁組織と外部からの支援者とがキーパーソンを軸に連携し地域に「自治」を生みだすことが復興の加速装置となることでしょう。
高い主体性を持った地域のキーパーソンは、どのコミュニティにも1割は存在しています。そうしたキーパーソンを丹念に発掘し、つなげ、さりげなく支援をしたいと思います。「自治会」という公式なものに加え、どの地域にもいる「世話焼きおばさん」のような存在も見逃すことなく、復興と、将来のまちづくりにもつながるやわらかな自治コミュニティが各地に生まれることを目指します。
中間支援的な「みやぎ連携復興センター」と、地域コミュニティを直接支援する「復興応援団」と、私には二つの顔がありますが一日も早い復興のために引き続き活動していきます。
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