インタビュー先:阿部 隆昭さん
株式会社グランパ代表取締役
Q.陸前高田で展開する植物工場が特区事業に指定されている
特区制度をはじめとした国の補助は、進出事業者にとって大きなメリットです。ただし重要なのは、一過性のものにせず、将来に渡って地域に貢献できる産業に育てていくこと。
陸前高田市では、近隣エリアに県や市の農業施設があり、他の事業者の進出も予定されています。エリア全体を大規模な園芸団地として育てていく構想もあります。民間の進出は我々が先陣を切った形ですが、次の打ち手を行政や民間に呼びかけていきたいと思っています。
Q.東北における先端農業の意義はどう考えるか?
日本の農業は衰退の一途をたどっており、特に高齢化と後継者流出による担い手不足は深刻です。農業を次の世代へつなげることは国として大きな課題となっています。
解決のためには、技術開発しかありません。生産性を高めつつ、気候などに左右されない環境を整える。特に自然環境は刻々と変化しており、人間は知恵をしぼって対応していかないといけません。我々の工場ではコンピューターで環境を制御しながら、10期作以上を実現します。ドームごと中国へ輸出する話もあり、先端農業モデルを輸出産業に育てていきたいです。
東北地方の農業は津波により大きな被害を受けてしまったけれども、もともとの農業比率が高い地域で、日本の農業再生のための重要な地域です。ゼロベースで新しいシステムをつくりあげ、東北を食料基地にしたいと考えています。
Q.雇用効果はどれほどあるのか?
現在8つのドーム型植物工場でレタスを生産しており、女性を中心に17名を雇用しています。職場環境がキレイなことや未経験者を歓迎したことで、応募時から枠の数倍の人気で、現在も働き手には喜んでもらっています。柔軟なシフトへ変えるなどで数名追加の雇用をするとともに、工場を増設し更に多くの雇用を生み出す予定です。
経営は効率を追求し若い優秀な人材を登用していきますが、一方で手作業は残ります。未経験でも行える業務として、高齢者や現在生活保護を受けているような人への就業機会を提供できます。あらゆる人が共存する地域社会の実現に寄与していきたいです。
Q.今後の打ち手は?
工場増設による規模の拡大に加え、こうした先端農業の担い手を育てる専門機関をつくろうと考えています。実践型の農業専門学校で、1学年につき100名規模。来年度にも開始して、日本の農業を支える人材を地域から育てていきたいです。
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