復興庁は、今年2月の発足後初となる来年度予算の概算要求を発表した。各自治体への復興交付金や他省庁実施の復興事業費を含め総額2兆8230億円が計上され、今年度の当初予算から38・2%増となった。
復興交付金やインフラ復旧予算が倍増
概算要求の主な内訳は、主に被災者の生活再建にあてられる復興交付金に5827億円、生活支援金等の被災者支援に2073億円、インフラ復旧およびがれき処理に1兆1691億円、産業振興・雇用確保に1275億円、原子力災害からの復興・再生に7251億円となった。
今年度当初予算との比較では、復興交付金が約2倍、海岸堤防や農地関連、上下水道などのインフラ復旧事項が約2・6倍へ増加したほか、雇用確保のための緊急雇用対応事業において、実施期間の延長のために新たに500億円が割り当てられた。
7月13日に福島復興再生基本方針が閣議決定された原子力災害関連では、福島県や自治体からの要望を踏まえられた。予算の大半は除染および廃棄物処理に当てられたが、研究開発拠点等の整備(380億円)や再生可能エネルギー支援(145億円)、風評被害対策(30億円)なども計上された。
官民一体となり迅速な復興を
復興庁は概算要求に係る方針として、被災地の課題を「インフラ等の復旧・復興」「産業の振興と雇用の確保」「心のケアなど被災者の支援」「福島の復興再生」とした上で、その解決に「民間の力を積極的に活用」すると明記した。
先日復興庁予算の一部が未使用となった報道がなされた通り、莫大な復興予算に見合う事業の迅速な実施は重要かつ喫緊の課題となっている。復興庁直接事業予算として、今年度に引き続き東日本大震災復興調整費が計上され、「柔軟な発想に基づく復興を支援」すると明記されている。縦割り体質から脱却し、迅速かつ柔軟に官民が連携することで、割り振られた予算をそれぞれの分野で有効に使い、復興の力強い後押しにしていきたい。
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