「復興協定」セクターの垣根を越え、長期的、本質的な協業を

復興の進展に伴い、被災自治体とその復興を支える民間事業者との間で復興協定が締結される例が増えてきた。

東芝はスマートコミュニケーションズと共同で、福島県飯舘村における復興事業への協力に関する協定を締結した。再生可能エネルギーの導入を柱とするスマートコミュニティ化等、同村の「新までいな村構想」の具体化に向けて計画策定段階から協力していく。

同社は再生可能エネルギーの分野において高い技術を有しており、5月に発表された中期経営計画においても同分野を中核事業に据えている。飯舘村の75%を占める森林を有効活用するバイオマス発電等、ノウハウを活かしつつ、検証によって得られる新たな知見は本業との相乗効果も見込めるだろう。

トヨタ自動車は10月岩手県釜石市にてオンデマンドバスの実証実験を開始した。これは本年8月に同市と締結した協定に基づくもので、KDDIなども参画し開発した「オンデマンド交通システム」を提供する。

同市から所有する小型バスの提供を受け、一般交通の便が悪い仮設住宅において、乗客需要に応じた柔軟な運行を行う。復興に伴って変化する街の交通事情にも追随できるシステム構築を目指す。

同社は実証実験を通して、震災復興を支援はもちろんのこと、過疎地などにおける持続可能な交通システムの可能性を検証し、次世代の新規事業創造へと繋げることも目的としている。

経団連が10月に発表した「2011年度 社会貢献活動実績調査結果」では、昨年10月以降に実施している震災関連支援活動について、194社363事例のうち、約46%にあたる168の事例が「本業に関連」すると回答している。

企業の社会貢献について、「CSRからCSVへ」と言われているが、長期的、本質的な支援ニーズが見えてきた中で、被災自治体に対する民間事業者の一歩踏み込んだ支援が、「復興協定」という形で表れているのだろう。

復興協定の例

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