震災から1年半、これからの復興について考える「ふくしま復興支援シンポジウム『つながる・ふくしま』」が10月2日、郡山市内で行なわれた(主催:ふくしま連携復興センター)。参加者は福島県内外から約180人を数えた。ここでは「東日本大震災における被災者支援の展望を紡ごう」と題して行われた基調講演について報告したい。
講師は、兵庫県出身で阪神淡路大震災以来17年、災害の問題に取り組んでいる弁護士の津久井進さん。災害と法の問題について分かりやすく説明し、今年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」についても言及。支援の内容はこれから具体化されるため、よりよい支援策にしていくには地元ふくしまの声が必要であると強調した。印象的だったのは、同法と憲法との関連について述べた部分。津久井さんは、憲法で一番大事な条文は自己決定権を保障している13条だと言う。その上でこう語った。「被災者支援法は避難の権利を認めた。避難している人、留まった人、それぞれの自己決定を保障するのは憲法から考えれば当たり前の人権感覚なのです」。
そして、活動については「長い道のりになるのを覚悟すること」。阪神地域では17年たっても復興していない地域があることを紹介し、「1日も早く元に戻りたい」という気持ちも当然だが、その焦りが一方であきらめを生むことを知っておかなければいけないと言う。「『がんばらないけど、あきらめない』。この言葉を福島の学生から教えてもらいました。素晴らしい言葉だと思う。あきらめない、それは希望を持つことです」と津久井さん。一部に「支援疲れ」の声もささやかれるなか、継続することの重要さを再確認させられた。
津久井さんは最後に「ボランティアが生き生きと息づく社会こそ民主主義」と、人々が他者への共感をもってつながっていくことの大切さを重ねて訴えた。それぞれ個別のテーマをもって行われているボランティア・市民活動だが、今回のシンポジウムは、その活動の意義を大局的にとらえ直す機会になったのではないかと思う。
取材・文/遠藤惠(ふくしま連携復興センター)
シンポジウムの分科会については、ふくしま連携 復興センターのホームページを参照。http://f-renpuku.org/