みやぎ連携復興センター代表理事 紅邑 晶子(べにむら あきこ)氏
自由度の高い復興基金を未来のまちづくりに活かす
目下の大きなトピックは「復興基金」の活用です。既存の行政制度の中ではすくいきれないニーズを、内容・期間に自由度の高い基金を活用してすくっていく必要があります。既に住宅などインフラ面にかなり使われてしまったけれど、今後まちづくりなど枠組みの大きなものや、ソフト面に活用していきたい。今まだ見えていない問題・ニーズもあるはず。阪神や中越も参考にしつつ3連復で協力し、官民から資金を積み増していくための説得力のある施策の提案を行って、そこから具体的な動きを作っていきたい。
連復としては、約40団体で連携し県全土の多種多様な事業を支援する「復興みやぎネットワーク会議」を軸に、引き続き「つなぐ」ことに注力します。その上で今後は、総務省発の「復興応援隊」サポート事業をはじめ、仙台の事務所から積極的に現場に出て、さまざまな具体的な取り組みにも挑戦していきます。
いわて連携復興センター代表理事 鹿野 順一(かの じゅんいち)氏
「中間支援」の役割とは?目的と成果にこだわりたい
今後、官民とも復興資金が先細りする中、各団体の存在意義が問われていると思います。
連復は「中間支援」として県内各地の団体に対してさまざまな活動を行ってきましたが、我々の役割も改めて問い直す必要があります。物資・資金の橋渡しや、情報の共有は確かに意味があったと思う。しかし忘れてならないのは「つなげる」「場をつくる」は目的でなく手段ということ。つながる相手と共に地域の未来を見据えたビジョンを定め、それに基づいた目的と成果にこだわっていきたい。
私は協働の際、「お互いの取り分は何?」と確認するのですが、目的を明確にしてからだと共に走ることができます。大船渡・釜石で取り組んでいる仮設住宅の支援連絡員事業もそう。行政も企業も目的を持って協力し、それぞれの目的に沿った成果を出せています。
連携のための連携ではいけない。地域のNPOと共に、次のステージへ行く必要があります。
ふくしま連携復興センター代表理事 丹波 史紀(たんば ふみのり)氏
「復興の踊り場」は準備期間。5年後を見据え人材育成を
ここ半年間、生活再建も自治体の取り組みも見通しが立たない「踊り場」にいるような感じがあります。一方、県内各地でワークショップという形で対話を続けてきた結果、各関係者・住民がお互いの立場を尊重しながら同じテーブルにつき、前向きな議論をするようないい空気も出てきています。
今福島では将来の地域の担い手をつくること、人材育成が重要です。復興資金は5年後にはしぼんでいきますが、福島では5年後からが本格的な帰還の始まり。その先の地域の基盤をどう作り、役所の職員や介護のスタッフなど人材をどう確保するのか。成果が見えにくい「踊り場」こそ、次の時期を見据えた準備期間として、職業訓練や人材育成を行う必要があります。
連復としては、浪江町と共にワークショップを通じ、行政の若手職員の育成を行っていきます。彼らは5年後の中堅層です。浪江町を先行モデルとして、他の町に横展開していきたい。今は種まきの時期かもしれませんね。
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