被災地の自治体におけるマンパワー不足が深刻だ。自治体職員の26%にPTSD症状が見られるといった宮城県の調査結果もあり、復興の大きな足かせとなる事が懸念されている。応援職員に始まった人的支援が、ここにきて官民一体の新たな展開を迎えている。
震災以降、全国の自治体から既に1千400人を越える応援職員が被災自治体に派遣されてきた。一方、期間が1年単位となり役割が限定されることや、特に福島県への派遣が少なく地域による偏りがあるなど課題も指摘されていた。
今年の夏からは任期付職員の募集が始まっている。最長5年の任期と、県や国による財政面や広報・採用・研修面の支援により期待がされている。ただし要件定義が明確な土木系を中心とした業務の募集はしやすいものの、マネジメント層の人材が不足する状況が続いている。
こうした中で、民間企業・NPOが支援に参画する動きが出てきている。KDDIは10月より釜石市に社員1名の出向を開始した。ICT活用等、専門性を活かした業務が期待されており、同様の企業派遣の動きが他地域でも起きている。またNPO法人ETIC.は民間から人材を募集し、浪江町への職員派遣を開始した。外部支援者受け入れに際しての調整業務や、住民コミュニティにおける意見のとりまとめなど、官民の連携を推進するコーディネーターの役割だ。
自治体だけでは果たせない専門業務や、必要だが今まで手が届かなかった業務を民間で補う。採用からその後のアフターサポートまでのマネジメントを外部化する。自治体においても、このような従来の枠を越えた新たな取組が生まれていることは非常に大きな意味を持つだろう。
文/藤沢烈(RCF復興支援チーム)
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