具体的な復興へ一歩前進
政府が国会に提出した第3次補正予算案が2011年11月21日に成立、全12兆1025億円のうち9兆2438億円を震災復興対策費として計上した。この内の東日本大震災復興交付金(1兆5612億円)を被災地の自治体が自由に使うことができ、復興事業に関わる地方自治体の費用の全額を地方交付税交付金(1兆6635億円)で補填できる。予算案を受け、それぞれの被災自治体が、復興計画をまとめている。
震災から8ヶ月以上が過ぎて成立した今回の第3次補正予算案には復旧復興を視野に入れた項目が多数盛り込まれ、これまでの緊急対策のフェーズから、復旧復興に向けた対策への期待が高まっている。復興計画の大きなポイントとなる高台移転に関しては各自治体、地元住民との合意形成などに腐心している状況だが、専門部署を設置する自治体が出るなど、それぞれの懸案事項が具体的に前進し始めている。
雇用の創出がカギ
第3次補正予算では、雇用創出のため「中小企業や農林漁業者などの事業再建・経営安定のための融資費用」として6716億円が用意された。また、「復興・円高のための雇用対策」として総額3925億円、うち被災地の雇用創出のために1510億円が確保されている。いずれも、年度予算ではなく、最大3年間に渡って支援を行うことができるとしている。
これらは被災企業の事業再開、被災失業者の再就職を期待するものだ。しかし、単に仕事が増えれば雇用が生まれるわけではないところに難しさがある。実のところ被災地の求人数自体は、震災前より増えているが、応募者は依然として少ない。この傾向は被災三県全体で見られ、求人数が増加する一方で、求職者は6月の16・4万人をピークに減少している。
この問題を解決するためには、雇用創出者が、被災地域でどういった事業が求められているのか、被災失業者がどういった仕事を求めているのかを把握する必要があるだろう。例えば、復興需要に関連して、製造業や警備、福祉などの雇用が増えている一方で、女性でも就ける仕事が少ないことが指摘されている。仕事と求職者のニーズに乖離があるのかもしれない。いずれにしても、こういった雇用の課題を解決するために、行政と民間企業、NPO(等団体)が協業して問題にあたるのはもちろん、被災失業者や被災企業側が雇用に対する声を上げることも重要だ。
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