来年3月が大きなリミット 震災遺構がなくなる前に東北へ

グーグルが震災遺構デジタルアーカイブプロジェクトを立ち上げた。震災で倒壊した建物の外観や内観をパノラマ画像で撮影したものをインターネット上で公開。その場に居合わせなかった人でも震災当時の様子や被害状況を知ることができ、震災の記録を後世に継承することができる貴重なツールだ。震災の記憶を後世へ受け継ぐにあたり、震災遺構は重要な役割を持つ。一方、その保存については賛否両論あり合意形成が難しく、各自治体ともに難しい決断を迫られているのが現状だ。宮城県気仙沼市の駅前に津波によって打ち上げられた漁船「第18共徳丸」。町並みから震災の痕跡が徐々に消えつつあるなか、目にするだけで、県外から来た人が当時を知るきっかけになる。保存が必要だと訴えかける人がいる一方、共徳丸に家をつぶされたという人もおり、地元住民へのアンケートでは多くが保存へ反対する結果となった。問題に関わる人たちの立場は様々で、その中での合意形成は難しい状況だ。

代表的な震災遺構と検討状況

こうした意見の不一致に加え、保存における手法や莫大な維持費用負担の検討などに、各自治体は頭を悩ませている。それに加え、解体費用に対する国からの補助金は来年3月で終了することから、現在ある震災遺構の多くがなくなることが想定される。デッドラインを迎える前に、まだ東北へ足を運んだことがない人は、自分の目で確かめに行ってほしい。

東北と他の地域では、復興進度のとらえ方に差が生じている。その差を埋めるには実際に体験する必要がある。また、ツアーなどの主催側もこのタイミングを有効に活用してほしい。

文/藤沢烈(RCF復興支援チーム)

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