オリジナル料理の競演。優勝は気仙沼に
味を競ったのは6商店街。岩手県から、大槌北小福幸きらり商店街の「めかぶシフォンケーキ」、おおふなと夢商店街の「さんまばっとう」、高田大隅つどいの丘商店街の「なっちく」、宮城県からは、南三陸さんさん商店街の「タコカレー」、おがつ店こ屋商店街の「雄勝丼」、そして会場である気仙沼復興商店街の「サンマティーヤ」だ。いずれも地元の食材を使った創作料理。うち4商店街が新作を考案して臨んだ。
食べ比べしてもらえるよう、サイズを小さくし1品300円で統一した。各300食がほぼ完売。来場者は受付に設置された箱に割り箸を入れて投票した。
グランプリに選ばれたのはトルティーヤにサンマの甘露煮を包んだ「サンマティーヤ」。2位はタコの唐揚げを乗せた「タコカレー」、3位は、サンマのつみれをすいとんで包んだ汁料理「さんまばっとう」だった。
「沿岸地域で協力を」。岡山のNPOが繋ぐ
大会の主宰は同市場と、岡山県に本部がある国際医療救援団体「AMDA(アムダ)」。AMDAは震災直後の医療・物資支援から、無料巡回診察や診療所の開設など、各地で活動を続けてきたNPOだ。その中で、三陸沿岸が県や地域を越えて協力し、自分たちで魅力を発信できるようになればと、昨年からは地域を繋ぐ交流事業にも取り組み始めた。
F-1大会を企画・推進したAMDAの大政朋子さんが注力したのは、各商店街に主体性を持ってもらうこと。こまめに訪問し、他地域の進捗や工夫を報告しながら、「絶対優勝!」というやる気を盛り上げていった。
次回主催地に挙手が!会場が感動に包まれた
大会の成果は来場者の盛況だけではなかった。表彰式の後、主催商店街の副理事長が壇上から次回の開催希望地を問いかけたところ、半数以上の商店街から一斉に手が挙がった。この瞬間、会場が震えるような感動に包まれたという。また大会終了後、大政さんの電話には各商店街から今回の反省点や次回への提案が寄せられた。それらはどれも参加者ではなく主催者側に立った視点だったという。
被災地の人々が他の被災地を見る機会は意外にないが「訪れることで自分の所以外の大変な現状を目にしたり、皆頑張っているんだと気づいたり。今まで支援される側だった人々が、他地域を『応援する側』にも回るのです」と大政さん。
これまで地域ごとに懸命に進めてきた復興だが、今後は県・地域を越えた交流・協働にも期待が膨らむ。例えば3県の港から大漁旗を掲げた船が集結するイベントや、漁師が腕を競う大会、特定の魚介・農産物を使った新商品のグランプリなど。東北の人々が元気になり、観光客誘致や三陸の新ブランドづくりにも繋がるような企画はさまざま考えられそうだ。
F-1大会の次回開催は大船渡の夢商店街に決定。4月21日の予定だ。
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