復興推進いかに 住まいの変化にともなう移行戦略の始まり~復興庁統括官 岡本全勝氏インタビュー~

5年間で25兆円の財源確保

 政権交代後、早々に政策総点検の指示が下った。年末年始で現状を洗い出し、1月29日の復興推進会議で全閣僚へ向けて3つの方針を示した。1つは5年間の財源枠の見直し。19兆円から25兆円へ拡大した。事業が進むにつれ見えてきたものを再度積み上げ、財源を確保し24年度補正予算および25年度予算に反映した。今後も柔軟に対応していく。

 2つ目は福島県の体制の見直し。宮城県、岩手県は遅れがありながらも、住民合意や計画策定が進み、やるべきことが明確になってきた。一方福島県は難しい課題がまだ残る。復興局・除染対応・区域見直しの体制を一元化し、意思決定の迅速化を図る。

 最後は当面の対策強化。住宅再建・まちづくりのスピードアップへ向け工程表や年度目標を明示する。また福島については避難者の帰還加速や仮の町の補助金等、新たな支援制度も作って対応する。

被災地のモデルを全国へ展開

 これから各地で、復興住宅等の着工が始まり、仮設から恒久住宅へ住まいの移行が始まる。普通の生活に戻ったときに向けて、今やっていることをどのように引き継いで行くのか考える必要がある。

 たとえば仮設団地の見守り。恒久住宅へ移ったとしても不要になる訳でなく、特に高齢者の多い沿岸地域などでは、今まで以上のケアが必要だ。厚労省の言う「地域包括ケア」とどう組み合わせていくのか。各自治体や担い手のNPO等は、次を見据えた戦略に着手していくことが鍵となる。

 今の被災地は、20年後の日本全国の地域の姿だ。何でも官がやります、というのでも、自由化を進め市場原理に任せるだけでも、うまく行かなかった。公助・自助・共助がどう役割分担してバランスをとっていくのか。被災地で今行っていることが、次代の地域モデルとなればと思う。

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