インタビュー先:阿部 喜英さん
復幸まちづくり女川合同会社 代表社員
梅丸新聞店 代表取締役
産業を立て直して町の復興を魅力あるエリアを創造し
集客力で街全体の収益を上げよう
女川の復興について様々な議論がされている。「やるべきこと」は出てくるけれど、「誰がやる」が抜けていてなかなか前に進まないところがあった。だから施策の実施主体となるような箱をつくった。
行政の資金を頼みにしたまちづくり会社はよくあるが、うちは100%民間出資。実施内容も独立採算の「事業」ありきで進めるつもりだ。
Q.どのような事業を考えているのか?
町の主産業である水産業の復興をどのように進めるかが最も重要。中でも商材の販路開拓が課題となっている。個社単位での対応の限界もあるため、ウェブ上に女川町として商材をまとめ、女川のブランディングを研究する。
まちづくり会社のメンバーはサービス業や水産加工業に携わる若手8名。まとまることで町としてのブランド力を高めていきながら、頒布会のような継続販売モデルを考えている。
Q.町のまちづくり推進協議会のWGへも参加し発言してきた
今後町内に商店街や公共施設ができて行く中で、ハコだけでなくてその中に何を入れ、どう継続運用していくのかが重要だ。にぎわいは震災前から課題だったし、震災後に町内にできた仮設商店街も皆が必ずしもうまくいってはいない。
商店街は百貨店のような考え方を目指すべきだ。魅力のある個店を誘致し、淘汰もあるかもしれないが、全体として集客力を持ち収益があがるように民間側で継続管理を行うのが望ましいと考える。
Q.町の未来にどのようなビジョンを持っているのか?
特別な観光名所がある訳でもないけれど、常にどこかで市が立っているようなにぎやかな雰囲気がある町。遠くから大型バスで大人数が来てくれるよりも、近隣の町から頻繁に遊びに来てもらえるような、1万人が来るイベントを年に1回やるより、1千人くる市が毎月行われるような、そんな町をイメージしている。
女川は小さな町で団結力も強い。コンパクトなまちづくりをすれば、皆がもっと連携しやすくなって良い町ができる。キーワードは「循環」。人も、お金も、自然の恵みも、常に循環して、派手でなくても自立持続可能な町づくりに少しでも力を尽くせればと考えている。
【復幸まちづくり女川(同) 阿部代表プロフィール】
本業は河北新報の女川販売所の所長。震災直後から新聞配達を再開、その後もフリーペーパーの制作を行うなどしながら必要な情報を多方面から届けた。商工会理事、観光協会副会長、教育委員も勤める。