5月16日に10回目となる復興庁の復興推進委員会が開催された。政権が変わり、メンバーも刷新された同委員会。今回はここで議論されている「新しい東北の創造」について注目したい。
新しい東北の創造とは、現在日本が抱える高齢化や産業の空洞化などの社会課題の解決や、世界のモデルとなる社会システムの創造を、復興を進める中で東北の地につくりだそうとするもの。子ども、超高齢社会、エネルギー、社会基盤、地域資源など5つの分野を中心に具体的な政策を検討し、6月末を目処に「新しい東北」の目指すべき姿について取りまとめが行われる。
この取組を2つの側面から考えてみたい。
1つは、復旧ではなく復興へ向けた政策への期待だ。行政は何かを元に戻すことは得意だが、今までに無かったものを創り出すことにはお金をつけづらい傾向がある。こうした中で、未来を展望しながら新たな社会づくりへ向けた政策検討の場が持たれていることは意義があるだろう。例えば子どもテーマではプレイリーダーという子どもに寄り添う大人をセットにした遊び場や運動場の整備、超高齢社会テーマでは高齢者を標準におきながら社会インフラやコミュニティが多角的に連携する包括的な地域づくり、など具体的な検討の方向性が提案されている。ハードのみに限らず、運営面を考慮したプログラムづくりに踏み込んでいるのは新しい切り口と言える。
もう1つは、民間側としてこうした動きをどう見るか。今この議論がされているのは、来年度予算を見据えたものだ。つまりこの委員会を復興庁の政策化プロセスとして捉える。他の省庁との駆け引きもある中、ここで議論されている事が復興の全てでは無いだろう。民間として行政の動きを注視しつつも、不足部分をいかに補っていけるのか、考え続ける必要があると考える。
(文/RCF復興支援チーム 藤沢烈)
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