継続?終了?災害FMの今後 持続可能なローカルラジオの形を探る、復興FMネットワーク設立

 震災以後、改めて見直されたラジオの価値。なかでも震災直後に東北各地で立ち上げられた災害FMは、避難所情報や炊き出し情報など、住民が「今」必要とする情報を迅速に発信し続けてきた。来年3月には総務省の放送免許が切れる予定の中、災害FMはコミュニティFMへと移行をするか、あるいは放送を終えるかの転換期を迎えている。継続をすべきなのか、何を目的とすべきなのか。それはラジオに限らず、震災後に各地で立ち上がった多くの施策や事業にも言えるが、震災から2年余りが経った今、真摯に向き合う時がきている。

 こうした状況のなか、公益社団法人日本フィランソロピー協会による「第1回復興FMネットワーク設立集会」が開催された。参加したのは3県のおもに沿岸部で災害FMやコミュニティFMを運営している17局。当日は、各々の課題を共有し解決策を導くディスカッションや、県別に分かれて協働の可能性を探るワークショップが行われた。

災害FMから、地域のコミュニティFMへ

ネットワークに参加した放送局一覧 コミュニティFM運営経験のある局、今まさに移行しようとしている局、展開未定の局、環境や自治体の意向によって、目指すゴールや目的はさまざまだ。一方、資金不足やコンテンツの拡充など、共通する課題も多い。集会では石巻や登米などコミュニティFMの運営経験のある局が、他局に運営資金の調達方法やコンテンツのアドバイスをするなど、ともに支え合っていける道筋を摸索していった。

 3県の災害FMやコミュニティFMが、この規模で集まる催しは初めて。「直接的な経済支援ではなく、局と局の連携から生み出される新しい視点の制作アイデアや営業力強化への気づきなど、局の運営に寄与する持続可能なプラットフォームへの足場作りを目指したい。これが復興に向かうコミュニティの基盤となる。」と日本フィランソロピー協会は狙いを話す。

 ラジオはただ情報を発信するだけでなく、人と人とをつなぐ場を作る機能を持っている。なにか面白いことを思いついた時、住民はラジオにアイデアを投げ込み拡散される。こうして地域の特色を生かしたイベントなどが生まれていく。「コミュニティの本質はイベントにあるのでは」と主催者が語る通り、「何かが生まれる」地域文化の拠点としてラジオが機能することで、住民の力が発揮され、地域を活気づける新たな活動の基盤となるという期待もある。

 今年度中にあと2回程度全体ミーティングを行う予定。2回目となる次回は公開カウンセリングや具体的な協働企画のワークショップなどを行う。さらなるコンテンツの底上げをはかるとともに、各局は持続可能な運営方法や目指す姿を探っていく。

文/田尻めぐみ

1件のコメント

  1. 奥田 匡則 返信

    臨時災害局(臨災局)のあり方は各方面で議論されていることは知っています。私も他県(群馬)に住んでいますが、インターネットを通じて臨災FM局の番組を聴いています。その情報自体に自分には直接利益が必ずしもありませんが、震災や津波のこと、被害を受けた地域や人々のことを忘れない意味で重要な放送として聴いています。少しでもその情報を聴き、寄り添いたいと思っているからです。まず最も大きな問題は、臨災局の局免許期限が2年程度であり短いことです。多くの臨災局が2014年3月に局免許の期限を迎えることです。これを総務省に働きかけて、あと数年延長するか、災害を受けた自治体が臨災局を不要と考えるまで存続できるようにすることです。そうでないと必要なのにも係わらず、コミュニティー局に移行できずに閉局せざるを得ない局が相当数出てきてしまうことが問題になるのです。しかしこのことは、その局を必要としている住民を窮地に陥れてしまうことにつながります。是非ともメディアでこのことを重大な問題として取り上げ、総務省に働きかけていただきたい。この障壁がなくなることで、臨災局がやれる範囲で最大の仕事ができ、功績を上げることができるのです。是非とも是非ともメディアとしての動きをお願いいたします。臨災局がコミュニティー局に移行すればいいという問題ではないのです。

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