編集後記vol.25

以前取材でお会いしたある牡蠣漁師のご実家をたずねた。石巻中心市街地から30分。これぞリアス式海岸!な景色を抜け、牡鹿半島のとある浜に辿り着いた。漁師でありながら自ら取引先開拓を行うその漁師さんは帰宅前で、お母様にお出迎えして頂いた。

「あと2時間は帰って来ない。先に食べるべ」、ありがたいお言葉の後しばらくすると、明らかに巨大なカキフライが運ばれて来た。大きさもさることながら、口の中に広がる少し強めの塩味が絶妙で、ソースもつけずに一瞬でたいらげる。

久々の牡蠣の余韻に浸る暇もなく、次の一皿が運ばれてきた。その数分後にもう一皿。30分ほどカキフライと向き合い続けた。

次に登場した蒸し牡蠣は圧巻だった。大皿の上に殻つきで豪快に盛られた牡蠣はその数20。この大皿が何回運ばれて来たか記憶にないが、ご厚意を裏切っては男がすたると必死に食べ続けた。その後牡蠣のオリーブオイル炒めをはさみ、破裂寸前の胃袋をさする僕のもとに、牡蠣の炊き込みご飯と牡蠣のすまし汁が届けられ、ついに怒濤の牡蠣三昧ナイトの幕が下りた。

牡蠣消費量の生涯記録を劇的に更新した翌朝。食卓に並ぶ牡蠣カレーを横目にお母様は僕にこう告げた。「牡蠣は嫌い?東京の人はあんま食べないねえ」。(Y)

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