編集後記vol.26

 月刊誌「東北食べる通信」が創刊された。東北の旬の食材と、その生産者の想いが綴られた小冊子が毎月届く、史上初の食べる雑誌。月額1980円。創刊号の7月号は、石巻・牧浜の牡蠣漁師、阿部貴俊さんが育てた殻つき牡蠣5個が新聞風の小冊子と共に届いた。夏の真っ盛りに、日焼けした腕で、殻つき牡蠣をクール宅急便で受け取るというのは、何だか不思議な感覚だ。

 フライパンに並べて蓋をして、待つこと5分少々。立派な蒸しガキが出来上がった。殻を開けて皿に盛ろうとするも、あまりにプリプリして美味しそうで、結局コンロの前に立ったままペロリと食べてしまった。致し方なし。

 同封された小冊子には、ビジネスマンとして順調だった阿部さんが故郷に戻り、自然と対話しながら牡蠣を育てるに至った物語や、自宅で作れるアレンジレシピ、牡蠣が生まれて出荷されるまでを学べるページなど食材や生産者に関する情報が満載だった。次号は短角牛ということで、予告を見るだけで気分があがる。

 夏に産卵を迎える牡蠣は、一般的には7月には出荷されない。出荷しても買い叩かれるのが現実だ。それが、今では作っている人と食べる人が直接つながることができる。適正な価格で取引することができる。素晴らしい世の中になったなあ。(T)

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