原発事故被災自治体における住民意向調査について、昨年度に続く2回目の結果が公表された。この調査は復興庁が福島県、市町村と共同で行っており、結果が出ているものは富岡町と浪江町の2町。現在は大熊町と双葉町も調査が進んでおり、11月には結果が公表される。
結果から読み取れるのは、昨年末から半年強の間に、住民の方々が判断を進めてきているということだ。町への帰還意向を見ると、富岡町、浪江町ともに「現時点でまだ判断がつかない」割合は減少傾向にある。また両町とも「現時点で戻らないと決めている」が6・2ポイント(富岡町)、9・9ポイント(浪江町)増加している状況だ。復興公営住宅への入居希望をみても、「現時点では判断できない」が14・1ポイント(富岡町)、12・5ポイント(浪江町)減少した。震災から3年近く経過し、いよいよ避難者が生活を決めつつあることが分かる。
住民の方々の適切な判断を促すためには、行政と住民間のコミュニケーションが重要だ。県外避難者に対しての支援では、浪江町が先行している。復興支援員を千葉、山形、新潟、埼玉、京都の5府県に配備し、個別訪問や情報提供を進めている。
こうした中で、復興庁も「県外自主避難者等への情報支援事業」を10月末から開始した。避難者の多い近隣の山形県および新潟県、および遠隔の大都市圏である北海道と大阪府において、現地で活動するNPOや社会福祉協議会に事業を委託する。ニュースレターの発行や説明会の実施などの情報提供支援、および個別相談の対応やアンケート調査などの相談支援の大きく2つの業務を行う。
情報支援において必要なのは、情報を一方通行で伝えるだけに留まらず、住民の中で伝播する仕組みをつくるかという視点だ。RCFでは釜石市や双葉町でコミュニティ支援を行ってきたが、住民向けの説明会で一方的に行政の考えを伝えるのではなく、住民自身のやりたいことを聞き出し、横からサポートする形で、住民同士のコミュニティづくりに注力してきた。
福島の避難者支援の場合、移動先の住民の中で避難者がばらばらに暮らしているため、津波被災地での支援より難易度は高い。イメージとしては、海外在住の日本人コミュニティをつくることに近い。同じ出身地と言う共通項を持つ者同士が、自発的につながり、組織化されることを目指して、支援を行う必要がある。
復興支援員も、復興庁の支援も始まったばかりだ。避難生活が長期化していく中、引き続き支援のあり方を模索していく必要がある。
文/RCF復興支援チーム 藤沢烈
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