11月3日に開催された第1回「住民まちづくり文化祭」には、町内外から180名が参加。大槌町のまちづくりに関して活発に議論が行われた。会議の中で参加者が書き込んだシートには、住まいや産業、医療や教育など幅広いテーマにおいて、各自の実現したい町のあり方が書き込まれた。
この文化祭の発起人は、住民まちづくり運営委員会代表の阿部敬一さん。町では、震災後に住民会議を重ねて復興計画を策定し、その後も行政主導で何回も会議が行われてきた。しかし時間の経過につれ住民の関心は低下。まちづくりへ参加するのはごく一部に限られていると危機感を募らせ、地域の複数の個人、団体へ声をかけ、改めて住民主導のまちづくり会議の開催に踏み切った。運営委員会には地域の婦人会会長や郷土芸能の団体の代表、漁師や高校生まで肩書き、年代とも幅広いメンバーが集まった。
「復興計画にただ反対したい訳でも行政を批判したい訳でもない。住民の参加を促す場が必要だった」と言う阿部さんらの動きに行政側も協力。運営委員会の打ち合せには町役場の担当者も加わり、第1回の文化祭には碇川豊町長も参加、町は後援の形を取った。
フィードバックと通訳を
今後さらに住民参加を促して行くにあたり、住民のレベルを上げる必要があると阿部さんは強調する。復興計画をしっかり理解していない住民も多いため、根拠が曖昧な噂に翻弄されてしまうようなことも。阿部さんは2011年の復興計画策定時には地区の代表を務めていたが、勉強する時間もなく議論が進んでしまったことへの反省もあると言う。そこで今後の施策としては、住民のまちづくりに関する理解を深める勉強会を計画。勉強会といっても専門家に話してもらう形だけではなく、事前に住民側から役場へ質問を投げるように促しつつ、その回答をもらうための場とする。委員会が間に入ることで、住民からすると質問のフィードバックを得られ参加の手応えを感じられ、行政からすると住民と話す際の通訳の役割を担ってもらえるようになる。
委員会の強みはメンバーの幅が広く、地域の各団体のキーとなる人間がいることだ。地域の代表性を強め、パイプ役として行政とつなぐことができれば、復興のスピードを緩めることなく住民参加型のまちづくり実現に近づくのだろう。
Tweet